アラビア語ハニー先生へ講師インタビュー。アラブ文化の入り口としての、アラビア語レッスン

アラビア語ハニー先生へ講師インタビュー。アラブ文化の入り口としての、アラビア語レッスン

アラビア語講師

Mohamed Hany(ムハンマド ・ハニー)先生

 

 2005年の愛知万博の際、ガイドとして初めて来日したハニー先生。万博で出会った奥様を連れてエジプトに行き、そこで結婚をした後、2006年に再び来日。それ以降、日本に住み続けて今年で10年。カイロ大学の日本語学科を卒業してから、エジプトにいる外国人にアラビア語を教えていた経験があり、アラビア語講師としては大ベテランの先生です。

日本語もネイティブのように話され、今では愛知の方言も理解できるまでに上達されたハニー先生。心はもう日本人になったと思っていた矢先、エジプトでは考えられない花粉症になったそうで、心だけでなく体質も日本人化してきたそうです。

 言語力に長けたハニー先生から、言葉を学ぶとはどういうことか、エジプトと日本の文化はどう違うか、生徒さんとのコミュニケーション方法など、様々なお話を伺ってきました。

 

●性格、食事、天気、初めて目の当たりにするカルチャーショック

Q. エジプトと日本で文化の違いや、生活のギャップを感じたことはありますか?

 A. 日本人とエジプト人の、人への接し方にまずギャップを感じましたね。エジプトの人は皆フレンドリーなんですよ。エジプトでは、困っている人がいたらすぐ声をかけますし、自分が困っていたら知らない人にでも声をかけて助けてもらいます。ですが、日本人はなかなか声をかけられない人多いですよね。

 驚いたことがあったのですが、以前、夏の暑い時に妻を乗せて車を運転していた時、歩道で自転車と一緒に倒れているおじいさんがいたんです。熱射病かと思って車を止め、「大丈夫ですか?」と声をかけたんですけど、妻は「何で声かけたの? この人はどうなるか分からないし、簡単に声かけたらだめだよ」そう言ったんです。さすがにそれは納得できなくて、救急車を呼びました。アラブの人は例え言葉が通じなくても、困っている人が助け合うんです。

 まだ日本語がそんなに分からなくて話せなかった時、日本のお店に行くと日本人は日本語で、こっちはアラビア語で話して何をしゃべっているのかお互い分かっていないのに、話が通じたんですよ。エジプトの人は間違っても恥ずかしさはあまり感じないんです。日本人は恥ずかしがる人が多いから、その違いにギャップは感じましたね。

 

 性格以外にも、食文化の違いに最初は戸惑いました。エジプトは90%イスラム教徒なので、豚肉は食べないんです。なので、お店に行った時は必ず豚肉が入っていないか確認して食べないといけないので、すごく大変でした。それと、熱い国なのでエジプト人とかアラブの人は生ものは絶対食べないんですね。でも、日本に来てから私の一番の大好物は、刺身や寿司になりました。

 

 生活のギャップで大変だったのは、天気ですね。日本だと夏でも雨が降るじゃないですか。でも、エジプトだと冬しか雨は降らないんです。夏の雨にも驚きましたけど、日本とエジプトの暑さの違いにも驚きました。エジプトの方が気温は暑いんですけど、乾燥してるんです。だけど日本は湿度が高いので、すごく熱く感じます。

それに、冬には雪が降りますよね。エジプトでは見られなかったので、日本で初めて雪を見た時は怖くて家から出られなかったんですよ。もちろん雪の知識はありますが、実際に見た時、空から降って来る石のように見えて怖かったんです。なので、エジプトの家族に見せるために、家の中から動画で雪をずっと撮影していました。でも、雪が止んでからは近所の小学生と雪だるまを作って遊んだりして、すごく楽しかったですね。

 

●言語と共に文化を教えるレッスン

Q. 授業では何をポイントに教えていますか?

 A. 一番初めに生徒さんに教えていることは、言葉が通じなくても伝えたいことは頑張れば伝わるということですね。言葉が通じないから理解してもらえないだろう、コミュニケーションとれるはずがないと思わなでほしいんです。まずは言葉が通じなくてもコミュニケーションがとれるということを通して自信を持ってください、頑張っていきましょうとアドバイスをします。

 また、アイザックと他のスクールが違うのは、言葉を勉強しながら、その国の文化を教えているということです。アラビア語はアラブの文化の入り口です。言葉を話せるというだけでは現地の人とコミュニケーションをきちんととることは難しいでしょう。その国の文化や習慣を知らなければ、自分の国とは全然違うことが理解しきれないのです。だけど、きちんと文化や習慣を把握しておけば、「あ~、なるほど。この人達はこういう文化だからこうなんだ」というようにリスペクトできますよね。

私はアラビア語の読み書きができる、会話ができるということだけではなく、アラブの文化も一緒に教えたいし、伝えたいんです。そのために例えば、現地の民族衣装を生徒さんに見せて、実際に着てもらったりしています。エジプトバージョンやアラブバージョン、色々民族衣装があるので、生徒さんも楽しく体験しながら学べていると思います。やっぱりレッスンが楽しかったらもっと勉強したくなるし、難しくても頑張れるって言われますね。

アラビア語は難しいと思っている生徒さんも多いのですが、「あなたも絶対出来るから、大丈夫です!」と言って、アラビア語の文字だけ覚えてもらうと、意味は分からなくても新聞までは読めるようになるんです。皆さん本当にびっくりされますね。

 

●仲間のような関係性で、目標に向かって最短コースで上達を目指す

Q. 生徒さんのモチベーションを引き出すためにやっていることはありますか?

 A. レッスンを始める前に、まず初めに「自分で習うやる気はありますか? 続けていく自信はありますか?」と生徒さんに聞きます。生徒さんにやる気があって、続ける自信があれば楽しくレッスンをしてあげたいと思うんです。楽しくレッスンをすることで、生徒と講師の壁がなくなってくんですよ。生徒さんの目標を一緒に達成する仲間のような関係になれるので、それが生徒さんのモチベーションを上げるためにはすごく良いんです。

それと、目的を早く効率よく達成してもらうために「アラビア語を学ぶ目的は何ですか?」とレッスンの前に質問をします。あんまり長い時間勉強したり、目的とは関係のない勉強をしたりしても時間が勿体ないですし、楽しくないと生徒さんのモチベーションも上がりません。そうなると私自身もやる気が出ないんですよ。

また、日本ではあまりアラビア語を喋る機会ないので、レッスンの中では私とアラビア語で会話をしてもらいます。アラビア語で会話をしながら、前より話せるようになった、聞き取れるようになったことが分かれば、上達が見えるので生徒さんのやる気もぐんとアップするんです。

 

●生徒の悩み相談にも親身になるフレンドリーな関係

Q. 生徒さんと普段からどのように接するように心がけていますか?

 A. 生徒と講師の間になるべく壁を作らないように、フレンドリーに接しています。そのために先ほど話したような、民族衣装を持ってきて着てもらったり、日本にはないエジプトの食べ物を持ってきて食べてもらったりしているんです。そうすると生徒さんにとても喜ばれるんですね。

 フレンドリ―に接することを意識していたら、生徒さんから相談されることが増えたんです。生徒さんと仲良くなってからですが、レッスンの時間に仕事で困っていることなどの相談にのるんです。仕事の関係の相談はびっくりするほどあるんですよ。赴任で現地に行った生徒さんとも仲良く今でもコミュニケーションをとっています。

相談にのる時は、本当の友達みたいにフレンドリーに正直にアドバイスをしていますね。私も日本に来た時は友達も少なく、生活の中で戸惑うこともよくありました。海外赴任される方の気持ちはよく分かるので、「これやった方がいいですよ」。「これをやったら上手くなるよ」と親身に相談にのりたくなるんです。

相談にのるのは、もちろん最初からではなくて、仲良くなってから流れで相談されるんですよね。レッスンの最初の方は、アラビア語の基本が大事なので、基本を徹底的に学んでもらいます。最初のうちは読み書きを頑張ってほしいですね。マンツーマンの個人レッスンはフレンドリーな形になりやすいので、すごく話しやすいですし、私にとってもいいんですよ。でも、グループレッスンでもちゃんと一人ずつの弱点、難しそうな点を把握して直してあげながら、一人一人とコミュニケーション取るように心がけています。

 

●楽しい思い出、たくさんの出会いがつまったアイザック

Q. アイザックの講師をやっていて良かったと思う点はありますか?

 A. 日本に来てからずっとアイザックの仕事をやらせてもらっているし、生徒さんや他の講師の方々などたくさんの出会いがあったので、アイザックには本当に感謝しています。アイザックスタッフのディレクターや講師の方々は皆さん仲が良いんですよ。私が帰る時は、いつも、「マアッサラーマ(مع السلامة)」とアラビア語で挨拶をしてくれることに本当にびっくりしましたね。それぐらい皆さん仲が良いんですよ。帰りだけではなく、スタッフがスクールに入って来たら皆さん挨拶してくれるんです。なので、クリスマス会などのイベントの時は必ず子供を連れて参加します。それほどアイザックでは色々な出会いがあって、日本で一番の良い思い出になっています。

私はコミュニケーションをとるのが大好きなんですよ。話すのも大好きですし、困っている人をみると放っておけずに何とかしてあげたいと思って相談にのるんです。ちょっとレッスンが終わる時間が過ぎても、生徒さんの気持ちを優先させたいので、延長させて相談に乗ったり、コミュニケーションを取ったりしちゃうんです。それにすごく楽しくレッスンができるので、その点もありがたいですね。

 

●やる気、自信さえあれば、どんなに難しくても上達できる!

Q. これからアラビア語を上達させたいと思っている人たちへのアドバイスをお願いします。

 A. まずは言葉が分からなくてもリスニングは大事なので、アラビア語を何でもいいので聞いてほしいと思います。今はYou tubeもあるので、アラビア語のチャンネルもたくさんあります。私はアニメが好きなので、何を言っているか分からなくても日本のアニメを見ながら日本語に耳を慣れさせていきました。言葉だけでも耳に入れることは、言語の入り口なんですよ。聞いているだけで、言っている意味は分からなくても発音できるようになります。なので、自分の好きなことや、関心のある分野のアラビア語の動画を見てリスニングした方がいいですね。

そうやってアラビア語の入り口に立った後は、基礎をしっかりと身につけてもらいたいと思います。最初の方だけしっかりとネイティブの人から学べば、あとは自分で出来るんです。最初のスタートはあんまり変な覚え方だと、後々直りにくいんですね。一番困るのは、ローマ字にカタカナがふってある日本のテキスト。カタカナでは発音がきちんと表記できないので、ネイティブの発音とは全く違うものになっています。これで覚えてしまっては発音するのが難しくなるので、「アラビア語が読めるようになったらローマ字、カタカナ読みはやめてください」と生徒さんにもよく言っています。

自分のやる気、自信があればいくら難しく感じてもやればできるんです! 自信を持ちながらアラビア語の勉強をしてほしいと思います。アラビア語を上達させたいと思っている方には、「あなたも絶対できる!」と伝えたいですね。

アラビア語を習得するということは、言葉だけできるようになるということではなく、アラブの文化を理解できるスタートラインに立てるということなんです。言葉が分かればお互いにコミュニケーションがとれるので、考え方が違う部分を言葉で補えます。それに、同じ言語を話せるというだけで仲間意識が芽生えるので、文化が違っても互いにリスペクトし合える関係になれると思います。楽しく、自信を持って勉強すれば、現地の人とそのような関係になれますし、ネイティブの人と同じようにアラビア語ができるようになれるということを伝えたいですね。

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