帰国子女必見!志望理由書の書き方「最強の5ステップ」

2021慶応義塾大学PEARL経済学部2名合格! おめでとうございます!
大学の帰国子女入試で合否を分ける「志望理由書」の書き方をお伝えします。
帰国子女入試での悩み
それは、滞在国や大学ごとに準備内容が大きく異なるということ。受験資格や準備書類、試験科目から日程まで、漏れの無いようにチェックするだけで一苦労。帰国子女入試の情報が少ない上、急に前年と違う募集要項になることも。
たった一つだけ、どんな大学入試でも時間をかけて準備するほど有利になるもの
それは「志望理由書」です。
もちろん、「志望理由書」が内申や筆記試験以上に重要だとは言いません。ただし、多くの受験生の予想以上に、「志望理由書」は合否に影響しているのです!
かく言う私も、素晴らしい「志望理由書」を書いた受験生が、能力以上(失礼!)の大学に合格する姿を何度も見てきました。逆に言えば、「志望理由書」だけよく書けても大学合格は難しいですが、「志望理由書」がダメダメだと、大きなハンデになってしまいます。
志望理由書の書き方に正解は?
「志望理由書」の書き方には、正解があります!
文章の上手下手ではなく、重要なポイントさえ押さえれば、誰でも書けるようになります。
ただし、良い「志望理由書」を書くためには、ある程度時間(最低でも1ヶ月!)が必要です。
願書提出の3日前に書き始めた志望理由書は、(天才的な才能がない限り)ほぼ確実にひどい出来になります。
是非、「志望理由書」の書き方を正しく学び、余裕を持って大学受験の準備をしていってください。
志望理由書がスラスラ書ける!最強の「5ステップ」
5ステップを始める前に
志望理由書の基本構成は「過去の経験→自己分析→将来の夢」です。
自分の過去・現在・未来を論理的に分析し、矛盾無く繋ぎ合わせることが志望理由書の肝になります。とは言え、主観的になりがちな自分自身を、論理的に分析することは簡単ではありません。
そのため、いきなり自己分析をはじめると出口の無い迷宮に迷い込んでしまいます。
だから、まずは自分の将来の夢(ステップ1)や、志望大学(ステップ2)を調べましょう。
その後、将来の夢や志望大学と自分の経験を比較することで、自己分析(ステップ3)をして下さい。
そのように調べた情報を、論理的かつ戦略的に整理(ステップ4)すれば、準備はほとんど完了です。
最後に志望理由書特有の書き方に気をつけてまとめれば(ステップ5)、完成です!
ステップ1:職業探求
自分の夢、職業を具体的に考えましょう。
職業名や職務内容を具体的に調べるだけでは足りません。
その職業が社会で果たすべき役割、望まれている理想像を具体的に調べるのです。
自分の知識、思い込みを書き込むのではなく、インターネットや書籍、新聞記事などを調査し、具体的な数値なども入れながらまとめていきましょう。
高校生向けの職業探求サイト、リクナビ進学などを参考にすると良いでしょう。
調べるポイント
・その職業の社会における役割、意義、社会貢献度
・その職業が抱える課題、問題
・その職業に就くために必要な条件、資格、能力
ステップ2:大学研究
大学研究では、自分が「志望大学に進学しなければならない理由」を具体的に探していきます。
ステップ1で調べた職業に就く(活躍する)ために、志望大学に進学する必然性がなければいけません。
大学の公式サイト、募集要項、大学案内、オープンキャンパス参加時の資料などを参照しながら詳細に研究していきましょう。
調べるポイント
・志望大学、志望学部(学科)で学びたい学問、分野、講座、ゼミ
・志望大学で取得可能な資格、学位、特殊技能、知識
・志望大学の特色、建学理念、教育システム、アドミッション・ポリシー
ステップ3:自己分析
5ステップの中で最も難しく、時間がかかるのがこの自己分析です。
闇雲に自分の過去を振り返っても、時間を浪費してしまいます。
例えば、「私は真面目で継続力と実行力があり、社交的な人間だ」というように、抽象的に自分の特徴を書き出しても何の意味もありません。
まず、自分が過去に経験した具体的なエピソードを書き出しましょう。
そのエピソードから考えられる自分の特徴を書き出せば、それが自己分析になります。
さらに言えば、将来の夢に関連した経験を探し出すと、なお良いでしょう。
もし書き出すきっかけが見つからない場合は、自己分析サイト(Benesse マナビジョン 「適職・適学チェック」)などを利用してもよいでしょう。
自分の特徴から、それを端的に示すような経験が無いか、過去を振り返ってみましょう。
また、自分が受け身の経験・感想ではなく、自分から行動して何か(環境、自分、周囲の人など)を変えたことを調べるのがポイントです。
時間を惜しまず、納得のいくまで自己分析をしてみましょう。
書き出すべき自分の経験のポイント
・自分が今までで一番努力した(成功した、感動した、うれしかった)経験
・自分が今までで一番失敗した(つらかった、悲しかった)経験と
・他人と比較して特殊な(滞在国特有の)経験
ステップ4:論理的かつ戦略的に構成を練る
ステップ3までを全て終わらせたら次のような順番で整理し、志望理由書の構成を練ろう。
①大学研究→職業探求の関連付け
大学研究で書き出した内容と、職業との関係を書き出そう。
その際、将来の職業と関係性のないものは、勿体無いけれども削除しよう。
例)「将来の夢:JICA(ジャイカ)職員として、アジア地域の途上国に対する教育支援をマネジメントする」の場合
A 比較教育文化・教育援助政策論演習(ゼミ) →途上国の現状・課題の把握
B 修士以上の学位(○○大院に希望の専攻なし) →プロジェクト提案できる専門性
C TOEICスコア900点 →現地でのプロジェクト実行の為の能力
D 交換留学制度 →英語力と、欧米の教育支援を学ぶ
E タイでの日本語教育実習 →途上国教育支援の体験
F ジャイカとの連携 →ジャイカの活動を実質的に学ぶ
G 充実した総合科目 →国際協力に必要な国際学、比較文化を学ぶ
②大学研究の順位付け
「職業と大学の関係性」が整理できたら、その重要度を考えて順位付けしてみよう。
志望大学でなければ学べない内容、その職業に就くのに必須の能力、などが上位に来やすい項目のポイントです。
例)
1位: A(ゼミ)専門性:大学の独自性が高く、職業分野と専門が一致しており必然性が高い
2位: F(ジャイカ)情熱:ジャイカとの連携大学が少ない、青年海外協力隊参加は重要だが必須ではない
3位: E(タイ研修)情熱:大学の独自性が高い、日本語教師として派遣は職業分野とズレがある
4位: D(交換留学)英語力:大学が力を入れているが独自ではない、職業の必須能力が得られるか不明確
G(総合科目)専門性:大学が力を入れているが独自ではない、職業の必須能力が得られるか不明確
5位: C(TOEIC)英語力:大学の独自性が無い、職業としては必須能力
6位: B(修士学位) 専門性:この大学では得られない能力、職業としては必須能力
③自己分析のエピソード抽出
「大学研究の順位付け」が上位のものから順に、自分の経験(具体的エピソード)と関係性が深いものを探し出そう。
もし関係性が深いものが見つからなければ、自分の過去をもう一度振り返って思い出してみよう。
それでもまだ見つからない場合は、強硬手段に出てしまおう。
書類提出までの期間を有効活用し、ネタになりそうな経験をしてしまうのも1つの手だ。
(本当は良くないけれど)自分の特殊な経験、ポジティブな経験を強引に関係性を引き出すか、(さらに良くないけれど)自分の経験を多少脚色してしまおう。
例)自分の特殊な経験
私が滞在していたフィリピンで一番印象的だったのは、学校外の路上で横たわるストリートチルドレンが、余りにも多かったことだ。現地での友人達と、ストリートチルドレンの雰囲気が全く違った。目には輝きがなく、気だるい声と虚ろな表情が、今でも脳裏に焼きついている。まで全て違った。学校のイベントで一日だけ奉仕活動の時間があり、郊外の寂れた小学校に行った。私も日本人の端くれとして、色々な動物を折り紙で折って子供達にプレゼントすると、本当に喜んでくれた。すぐに子供たちが集まってきて、折り紙はあっという間に無くなったが、清清しい気持ちだった。日本に帰ってきてからも、あの子達の為に出来ることは何かないか、とよく考えるようになった。
ステップ5:志望理由書を実際に書いてみる
ついに最後のステップ、志望理由書を実際に書いてみます。志望理由書は何度も書き直すものなので、いきなり本番の提出書類に書き込まないように注意しよう。
また、字数制限は大学によって大きく異なるので、字数が足りない場合は「②自己分析」を優先的に省略しましょう。では、下のような順番で書いていきましょう。
①志望理由 :簡潔に志望理由を書く。
「私はJICA職員になって途上国の教育支援に携わりたいので、○○大学人間学部教育学科を志望します。」
②自己分析 :自分の夢を持ったきっかけを簡潔に書く。
「私が途上国の教育支援に興味を持ったきっかけは、フィリピンのストレートチルドレンとの出会いからでした。私がフィリピンに滞在していた時、学校の企画でボランティア活動に参加する機会がありました。郊外に住む貧しい子供達と文化交流しながら触れ合う中で、テレビや教科書ではわからなかった1つのことに気がつきました。私と彼らは言葉や文化が違っても、同じ人間なんだということです。しかし、そこにいる子供たちの多くが、数年後にはストリートチルドレンになると聞き、強いショックを受けました。学校外の路上で頻繁に目にしていたストリートチルドレンは、まともな教育も受けれず、やがては犯罪者か薬物中毒者になるしかありません。私はその時から、先進国日本で生まれた人間として、途上国の子供達が教育を受ける機会をつくりだす責任がある、と強く思うようになりました。」
③職業探求 : 自分の夢の職業の、社会的役割を書き出す。
「途上国支援には経済、医療、開発などの数多くの分野がありますが、中でも教育は必須分野です。教育による途上国の人材育成こそが、自立的な成長と諸問題の解決へと繋がります。しかし、現代国際社会ではグローバル化によって先進国・途上国間の格差が拡大しつつあるため、途上国単独で教育問題を解決することは困難です。そのため、国際協力機関の多くは教育分野に重点をおいており、青年海外協力隊も約40%が教育職です。ただし、青年海外協力隊は年々応募者数が減少し、現在では派遣計画の半数にも満たないため、支援活動に支障が出ています。だからこそ、私は将来、先進国・途上国間の教育支援を結びつける、教育の専門家になりたいと思っています。」
④大学研究 :その職業に就くために必要な能力のうち、重要度が高いものから2、3個を選んで書く。その能力に1対1で対応する大学の特徴を書き、大学入学の必然性を説く。(この項目が一番重要!)
「このような教育の専門家となるためには、総合的な教育学の理解と実践が必要不可欠です。私が貴校を志望したのは、日本教育学の歴史を作ってきた「教育の総本山」で、総合的に教育学を学びたいからです。もし私が貴校の入学を許されたら、グローバルレベルで実践的・理論的に教育を探求する、地域・国際教育系列の授業に重点をおきたいと思います。特に、3年次から始まる比較教育文化・教育援助政策論のゼミに参加し、グローバル化が各国の教育政策へ与える影響を学びたいと強く思っています。中でも、実際に青年海外協力隊の派遣教員サポートをされている△△教授から学ぶことは、何よりも貴重な機会だと感じています。もちろん、教育学を知識として学ぶことに留まらず、実践にも取り組みたいと思っています。タイで実施される国際協力教育実習に参加し、途上国教育支援を実地経験から学んでいきたいと思います。私は貴校で学ぶことで、途上国の教育支援を促進・発展させる、私の夢を実現したいと思います。」
⑤結論 :まとめとして、志望する大学・学部を再確認する。
「以上の理由で、私は○○大学人間学部教育学科を志望します。」