
業務を行う上で、欠かせないのがコミュニケーションと言うのは、すでに常識化している。そのために会議を重ね、メールのやりとりを頻繁に行い、さまざまな業務は文章化され、共有されている。にも関わらず、意図が伝わらず、認識のズレがあり、思わぬ悪い結果を産み出すケースは少なくない。
ましてやグローバルな環境で、文化的背景が異なる人々との協業の機会が増える現在、そのコミュニケーションは、さらに難しさを増している。
それはグローバル業務の共通言語である英語が得意な人にとって同様な問題は繰り返されている。
一方、日本では若い世代になればなるほど、その問題は深刻さを増している。彼らは社会に出る前の段階で、濃い人間関係を経験していないことも影響している。教室で隣に座っている友達とLINEで会話し、その言葉は極めて稚拙で簡略化されている。コミュニケーションの重要な要素の一つであるロジカルに伝えることも訓練されていない。
最近の新入社員は一人一人が非常に孤立していると言われている。これは世界的現象で、私が教鞭をとっていたフランスの大学院の生徒も人間関係は極めて希薄だった。本来、人間関係を補完するためのツールであるメールやソーシャルネットワークが、今や生活の中心になり、バーチャルな空間以外での人間関係を面倒くさがる若者が急増している。
ビジネス環境は今、急激に変化しようとしている。テクノロジーの進歩、途上国の台頭などで、確実と思われたビジネスモデルが、まったく利益を産まなくなる現象はあちこちで起きている。その変化をどう読み、どう判断するかは人によって大きく異なる。
たとえばコンプライアンスへの認識も大きく変化した。三菱自動車の省エネ不正検査は、会社ぐるみだったようだが、20年前であれば、多くの人々は、それほどの悪事に感じなかったかもしれない。それが会社の存続を脅かす事態に発展するという認識は低かった筈だ。そのため不正は放置された。
不正への認識は時代と共に変化し、年々厳しくなっているが、その変化に対して関係者は察知できなかった。その原因の一つがコミュニケーションにある。暗黙の了解で動いている事には不正行為が多いと言われている。誰も触りたくない、言及したくないことはコミュニケーションに浮上してこない。
グローバルな経営環境では、リスクマネジメントが重要さを増しているが、最初の段階はリスクを見える化することだ。実はリスクを抽出し、分類し、その重大度を検討することは、リスクマネジメントの成功を左右する最重要事項だ。ではリスクは、どのように見える化できるのかと言えば、それはコミュニケーションによるところが大きい。
優れたリーダーは聴き上手だということは、よく指摘されることだが、聴き上手であることは、正確に現状を把握する最も有効な手段だ。正確な現状把握なしには、適切なヴィジョンや方向性を打ち出すことはできない。
だから物事がうまくいかない時には、まずコミュニケーション不足を疑えということになる。このコミュニケーションの希薄さが、企業や組織を弱体化させ、逆にコミュニケーションの質を高めることが成功の鍵を握ることになる。
コラム52 5・30・2016記
安部雅延 (あべ まさのぶ)
国際ビジネスコンサルタント。欧米アジア・アフリカ地域での豊富なグローバルビジネス経験あり。フランス・レンヌの国際ビジネススクールで20年以上、グローバルマネジメント、異文化間コミュニケーション、交渉術、比較文化などの教鞭を取る。日本企業の研修経験豊富(日産自動車、日立、日本通運、東芝、富士通、NEC、ニッスイ、ホンダロジスティックス、DeNA、三菱東京UFJ銀行など多数)。さらにフィリップス、HSBCなど外資系企業も多数。特にグローバル人材開発に特化し、最新の理論、現在進行中のグローバルビジネスへの関与等による豊富な経験談、データ、実際に起きた事例を駆使するのが特徴。国際ジャーナリストとしても活躍し、雑誌などに寄稿。これまでに30カ国以上を取材し、世界の政財界、学者へのインタビューも多い。
著書『日本の再生なるか』(財界通信社)、『下僕の精神構造』(中経出版)、訳書『愛するモンサンミッシェル』(ウエストフランス社)など。
● グローバルマネージメント研修
アイザックは、長年語学教育に携わった私から見て、本当に理想的なシステムになっていると確信します。その際立った特色は3点あります。
第1に、会話の短期上達を目標に“十分な会話の量”を重要視し、確保していることです。そのためには、コミュニケーション重視の出来る限り少人数のクラス、あるいはマンツーマンレッスンを提供しています。
第2は、カリキュラムについてですが一つの理念と方法に特化するのではなく、目的に応じて、その目的に最も相応しいものを適宜選び取り進めているころです。
第3に多言語への広がりを重視し、今や「英語は当たり前」もう一つは「現地語」の時代です。英語に限らず様々な言語について資格試験を行っていますが、アイザックではTOEIC(R)、TOEFL(R)対策など、カンパニーレッスンはもとより、受験、就職向けにレベルに合った対策を行っています。
そして、三つ目の特色は、たぐいまれに見る優れた講師陣です。私が講師研修などでお会いした講師の皆さんは日本語も堪能で、豊かな人間性と教養の持ち主で、教えることを自分の大切なミッションと考えている人ばかりでした。
その様な訳でアイザックは時代の要請にあった素晴らしい本格的な総合語学教育機関です。
アイザック語学教育特別顧問
東後勝明
兵庫県生まれ。早稲田大学教育学部卒業、同大学専攻科修了。ロンドン大学大学院教育研究科修士課程修了、博士課程修了。英語音声学、英語教育学専攻。早稲田大学教授、2008年定年退職、名誉教授。1972年~1985年9月、NHKラジオ「英語会話」の講師。英語学・英語教育に関する著書30冊以上。
メディア掲載情報Media Infomationアイザックは、テレビドラマ・ドキュメンタリーへの制作協力経験が豊富です。
また、数多くの雑誌や新聞にも取り上げられています。
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