外国人採用担当者必見【日本語能力試験JLPT】の説明書
近年の外国人材採用の増加に伴い、頭を悩ませる人事担当者も増えてきていますね。そんな方たちのために、今回ご紹介するのは【日本語能力試験JLPT】です。どんな基準で人材を評価するか、または評価するべきか等、参考にしていただければ嬉しいです。
Q:日本語能力試験ってどんな資格?
A:日本語を母語としない人の日本語能力を測定し、認定する試験です。
国際交流基金と日本国際教育協会(現日本国際教育支援協会)が1984 年に開始し、今では全世界で60万人以上が受験する、世界最大規模の日本語の試験となっています。
この試験は、日本語の文字や語彙、文法についてどのぐらい知っているかを測るための「言語知識」、知識を利用してコミュニケーション上の課題を遂行できるかを測るための「読解」、「聴解」という3つの要素により、総合的に日本語のコミュニケーション能力を測るためのものです。
大規模試験のため、解答は選択枝によるマークシート方式で行います。話したり書いたりする能力を直接測る試験科目はありません。
日本語能力試験には、5段階(N1、N2、N3、N4、N5)のレベルがあります。できるだけきめ細かく日本語能力を測るために、試験問題はレベルごとに作られています。
N4とN5では、主に教室内で学ぶ基本的な日本語がどのくらい理解できているかを測ります。N1とN2では、現実の生活の幅広い場面で使われる日本語がどのくらい理解できるかを測ります。N3は、N4、N5からN1、N2への橋渡しのレベルです。
それぞれのレベルの目安は以下の通りです。
N1:幅広い場面で使われる日本語を理解することができる←ビジネスレベル
N2:日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる←ビジネス最低限レベル
N3:日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる
N4:基本的な日本語を理解することができる
N5:基本的な日本語をある程度理解することができる
Q:どんな問題が出るの?
A:「言語知識(文字・語彙・文法)・読解」と「聴解」で構成されています。
レベル毎の試験問題の構成は、以下になります。
【N1】言語知識(文字・語彙・文法)・読解(110分)
◆文字 / 語彙
・漢字で書かれた語の読み方を問う
・文脈によって意味的に規定される語が何であるかを問う
・出題される語や表現と意味的に近い語や表現を問う
・出題語が文の中でどのように使われるのかを問う
◆文法
・文の内容に合った文法形式かどうかを判断することができるかを問う
・統語的に正しく、かつ、意味が通る文を組み立てることができるかを問う
・文章の流れに合った文かどうかを判断することができるかを問う
◆読解
・生活・仕事などいろいろな話題も含め、説明文や指示文など200字程 度のテキストを読んで、内容が理解できるかを問う
・評論、解説、エッセイなど500字程度のテキストを読んで、因果関係 や理由などが理解できるかを問う
・解説、エッセイ、小説など1000字程度のテキストを読んで、概要や筆者の考えなどが理解できるかを問う
・複数のテキスト(合計600字程度)を読み比べて、比較・統合しながら理解できるかを問う
・社説、評論など抽象性・論理性のある1000字程度のテキストを読んで、全体として伝えようとしている主張や意見がつかめるかを問う
・広告、パンフレット、情報誌、ビジネス文書などの情報素材(700字 程度)の中から必要な情報を探し出すことができるかを問う
◆聴解(60分)
・具体的な課題解決に必要な情報を聞き取り、次に何をするのが適当か理解できるかを問う
・事前に示されている聞くべきことをふまえ、ポイントを絞って聞くことができるかを問う
・テキスト全体から話者の意図や主張などが理解できるかを問う
・質問などの短い発話を聞いて、適切な応答が選択できるかを問う
・長めのテキストを聞いて、複数の情報を比較・統合しながら、内容が理解できるかを問う
【N2】言語知識(文字・語彙・文法)・読解(105分)
◆文字 / 語彙
・漢字で書かれた語の読み方を問う
・ひらがなで書かれた語が、漢字でどのように書かれるかを問う
・派生語や複合語の知識を問う
・文脈によって意味的に規定される語が何であるかを問う
・出題される語や表現と意味的に近い語や表現を問う
・出題語が文の中でどのように使われるのかを問う
◆文法
・文の内容に合った文法形式かどうかを判断することができるかを問う
・統語的に正しく、かつ、意味が通る文を組み立てることができるかを問う
・文章の流れに合った文かどうかを判断することができるかを問う
◆語彙
・生活・仕事などいろいろな話題も含め、説明文や指示文など200字程 度のテキストを読んで、内容が理解できるかを問う
・比較的平易な内容の評論、解説、エッセイなど500字程度のテキスト を読んで、因果関係や理由、概要や筆者の考え方などが理解できるかを問う
・比較的平易な内容の複数のテキスト(合計600字程度)を読み比べ て、比較・統合しながら理解できるかを問う
・論理展開が比較的明快な評論など、900字程度のテキストを読んで、 全体として伝えようとしている主張や意見がつかめるかを問う
・広告、パンフレット、情報誌、ビジネス文書などの情報素材(700字 程度)の中から必要な情報を探し出すことができるかを問う
◆聴解(50分)
・具体的な課題解決に必要な情報を聞き取り、次に何をするのが 適当か理解できるかを問う
・事前に示されている聞くべきことをふまえ、ポイントを絞って 聞くことができるかを問う
・テキスト全体から話者の意図や主張などが理解できるかを問う
・質問などの短い発話を聞いて、適切な応答が選択できるかを問う
・長めのテキストを聞いて、複数の情報を比較・統合しながら、内容が理解できるかを問う
【N3】言語知識(文字・語彙)(30分)
◆文字 / 語彙
・漢字で書かれた語の読み方を問う
・漢字で書かれた語の読み方を問う
・文脈によって意味的に規定される語が何であるかを問う
・出題される語や表現と意味的に近い語や表現を問う
・出題語が文の中でどのように使われるのかを問う
言語知識(文法)・読解(70分)
◆文法
・文の内容に合った文法形式かどうかを判断することができるかを問う
・統語的に正しく、かつ、意味が通る文を組み立てることができるかを問う
・文章の流れに合った文かどうかを判断することができるかを問う
◆読解
・生活・仕事などいろいろな話題も含め、説明文や指示文など150~ 200字程度の書き下ろしのテキストを読んで、内容が理解できるかを問う
・書き下ろした解説、エッセイなど350字程度のテキストを読んで、 キーワードや因果関係などが理解できるかを問う
・解説、エッセイ、手紙など550字程度のテキストを読んで、概要や論 理の展開などが理解できるかを問う
・広告、パンフレットなどの書き下ろした情報素材(600字程度)の中 から必要な情報を探し出すことができるかを問う
◆聴解(40分)
・具体的な課題解決に必要な情報を聞き取り、次に何をするのが適当か理解できるかを問う
・事前に示されている聞くべきことをふまえ、ポイントを絞って聞くことができるかを問う
・テキスト全体から話者の意図や主張などが理解できるかを問う
・イラストを見ながら、状況説明を聞いて、適切な発話が選択できるかを問う
・質問などの短い発話を聞いて、適切な応答が選択できるかを問う
【N4】言語知識(文字・語彙)(30分)
◆文字 / 語彙
・漢字で書かれた語の読み方を問う
・ひらがなで書かれた語が、漢字でどのように書かれるかを問う
・文脈によって意味的に規定される語が何であるかを問う
・出題される語や表現と意味的に近い語や表現を問う
・出題語が文の中でどのように使われるのかを問う
言語知識(文法)・読解(60分)
◆文法
・文の内容に合った文法形式かどうかを判断することができるかを問う
・統語的に正しく、かつ、意味が通る文を組み立てることができるかを問う
・文章の流れに合った文かどうかを判断することができるかを問う
◆読解
・学習・生活・仕事に関連した話題・場面の、やさしく書き下ろした 100~200字程度のテキストを読んで、内容が理解できるかを問う
・日常的な話題・場面を題材にやさしく書き下ろした450字程度のテキ ストを読んで、内容が理解できるかを問う
・案内やお知らせなど書き下ろした400字程度の情報素材の中から必要 な情報を探し出すことができるかを問う
◆聴解(35分)
・具体的な課題解決に必要な情報を聞き取り、次に何をするのが適当か理解できるかを問う
・事前に示されている聞くべきことをふまえ、ポイントを絞って聞くことができるかを問う
・イラストを見ながら、状況説明を聞いて、適切な発話が選択できるかを問う
・質問などの短い発話を聞いて、適切な応答が選択できるかを問う
【N5】言語知識(文字・語彙)(25分)
◆文字 / 語彙
・漢字で書かれた語の読み方を問う
・ひらがなで書かれた語が、漢字・カタカナでどのように書かれるかを問う
・文脈によって意味的に規定される語が何であるかを問う
・出題される語や表現と意味的に近い語や表現を問う
言語知識(文法)・読解(50分)
◆文法
・文の内容に合った文法形式かどうかを判断することができるかを問う
・統語的に正しく、かつ、意味が通る文を組み立てることができるかを問う
・文章の流れに合った文かどうかを判断することができるかを問う
◆読解
・学習・生活・仕事に関連した話題・場面の、やさしく書き下ろした 80字程度のテキストを読んで、内容が理解できるかを問う
・日常的な話題・場面を題材にやさしく書き下ろした250字程度のテキ ストを読んで、内容が理解できるかを問う
・案内やお知らせなど書き下ろした250字程度の情報素材の中から必要 な情報を探し出すことができるかを問う
◆聴解(30分)
・具体的な課題解決に必要な情報を聞き取り、次に何をするのが適当か理解できるかを問う
・事前に示されている聞くべきことをふまえ、ポイントを絞って聞くことができるかを問う
・イラストを見ながら、状況説明を聞いて、適切な発話が選択できるかを問う
・質問などの短い発話を聞いて、適切な応答が選択できるかを問う
Q:日本語能力試験の資格はどんなメリットがあるの?
A:学校での単位・卒業資格認定、社会的な資格認定などのメリットがあります。
1.日本の出入国管理上の優遇措置を受けるためのポイントがつく
「高度人材に対するポイント制による出入国管理上の優遇制度」で、日本語能力試験N1の合格者は、15ポイントがつきます。ポイントの合計が70点以上の場合に、出入国管理上の優遇措置が与えられます。
2.日本の中学校卒業程度認定試験で一部の試験科目の免除が受けられる
外国籍などの受験者の場合、日本語能力試験N1かN2の合格者は、国語の試験が免除されます。
3.日本の医師等国家試験を受験するための条件のひとつになる
海外において医師などの免許を持っている人が、日本の医師などの国家試験を受験するためには、日本語能力試験N1の認定が必要になります。
4.日本の准看護師試験を受験するための条件のひとつになる
海外の看護師学校養成所を卒業した人が、日本の准看護師試験を受験するためには、日本語能力試験N1の認定が必要条件に含まれます。
5.EPA(経済連携協定)に基づく看護師・介護福祉士の候補者選定の条件のひとつになる
EPA(経済連携協定)に基づき、インドネシア、フィリピン、ベトナムから来日する看護師・介護福祉士の候補者は、日本語能力試験N5程度(インドネシア、フィリピン)またはN3(ベトナム)以上の認定が、必要条件のひとつです。
アイザックの紹介
外国語スクールのアイザックは今年31周年を迎える、老舗の語学教育機関です。
外国語はもちろんですが、日本語の講師も在籍しており、外国人の方向けに日本語マンツーマンレッスンを行っています。
また、法人研修などアイザックの講師を派遣して、海外から日本に就職して働いている方向けに日本語レッスンを行っている実績も豊富です。
近年のグローバル化に伴って海外労働者が増えてきていると同時に、コミュニケーションに課題も増えてきており、そのような課題を解決するために私たちアイザックは、より良い学習プログラムを提案していくため精進してまいります。