海外赴任先の子供の学校選び【メリット・デメリット】
海外赴任が決まった際、家族を帯同するかどうか悩みどころだと思います。家族とじっくり相談して決めて頂きたいと思いますが、もし家族を帯同する時に子供がいる場合は、現地での子供の教育が次の悩みどころになるでしょう。
外国人向けの学校に通わせるか、現地の学校に通わせるか、子供のためにどんな選択をすればいいのか、判断に迷うところだと思います。まずはどのような学校を選べるのか知ることが大切です。その上で各学校の特徴やメリット、デメリットを知り、自分の子供はどの学校で学ぶことが一番ためになるのか判断しましょう。
現地での生活をする上で大切な子女教育。子供の将来のためにもしっかりと見極めて学校を選択できるよう、ここでは学校選びのポイントや、各学校の特徴、長所、短所などを紹介していきます。
学校選びのポイントを押さえる
学校選びの主なポイントは、使用言語、生徒の国籍、費用、それにプラスして帰国後の進路も踏まえることです。大体は、日本人学校か、私立在外教育期間で日本語教育を受けるか、あるいは現地校やインターナショナルスクールと日本補習校を組み合わせるパターンが多いようです。
また、地域によって学校事情が異なります。アジアでは日本人学校が多いですが、北米ではあまり日本人学校はありません。なので、北米での子女教育方法は、現地の学校で英語の教育を受け、家庭によっては日本語教育として補習授業校や通信教育を加えるといった場合も多くあります。欧州ではインターナショナルスクールも人気だそうですが、ドイツ、フランスなど一部で現地の学校を選択する家庭もあるそうです。
現地の学校で、現地の勉強を主にしつつ、日本語教育も補習的に行うのか、日本語での授業を主にして現地の言葉を学ぶのか、どの言語での教育を受けさせたいか、あるいは子供が希望するかによって選択肢は様々に変わってきます。
費用の面で考えてみると、国際学校や私立在外校は一般的に高めとされています。日本人学校は、教師の一部は文部科学省から派遣されているものの完全な公立ではなく、現地の日本人会や在留邦人、企業によって運営される私立なので、費用、規模、設備などは地域によって異なるようです。
なので、赴任先ではどのような学校を選択すればいいのか、まずは情報を集めることが必要になってきます。前任者に現地での学校事情を聞いたり、インターネットを活用して調べたり、様々な相談機関から話を聞いたりしてみましょう。子供からすれば未知の国で学校に通うことはこれから大人になるにつれての大きなチャンスでもあります。
将来日本に帰るにしても、現地に留まったり、他の国に行くにしても、子供にとって一番どんな教育方法が向いているのか、きちんと親子で話し合って決めていきたいものです。
主流な学校の特徴とメリット、デメリット
現地でも日本教育を受けられる日本人学校
日本の小学校、中学校と同じ内容の教育を受けられる目的で設立されています。日本人学校は、文部科学大臣認定の全日制学校なので、生徒の国籍ももちろん日本で、学校内で使う言語も日本語です。日本の検定教科書を使うので、日本で学ぶのと変わらない教育が受けられます。
現地の日本人会や在留邦人の運営委員などによって、日本人学校は運営されています。また、教師は教員資格を持ち、文部科学省からの派遣や現地採用などによって選ばれた教師陣。まさに日本人の、日本人による、日本人のための学校なのです。
現地教育や国際的な広がりにかけた教育という指摘もありますが、地域での差が大きく、現地の交流行事などを行う学校もあります。赴任先の国に親しみを覚えて現地での言葉を学ぶ方を重要視するのであればあまりお勧めはできませんが、日本に帰ってからの生活を考えて、編入や受験に対してスムーズに対応できることを重要視するのであれば、日本人学校にするのもひとつの手だと思います。ただ、小学校と中学校しかないので高校生のお子さんの場合は日本人学校以外の教育方法を受けるしかありません。
日本人学校の高等部に相当する、私立在外教育施設
日本の学校法人などが、海外に設置した文部科学大臣認定の全日制の学校です。日本人学校と同じく、日本人の、日本人による、日本人のための学校なので、生徒の国籍も日本、学校内で使う言語も日本語です。
世界に10校もないほど数は少なく、主に高校が多いですが、バイリンガルな教育が受けられ、帰国後の大学入試にも対応した授業を行っています。高等部卒業生は日本国内の大学の入学資格が与えられるので、帰国後の編入、受験がスムーズに行えるのです。
一部では小中学部もある学校があるので、そこでは日本の小学校、中学校、もしくは高等学校と同じレベルの内容の授業を展開しています。高等部卒業生と同じく、中学部の卒業生は、日本国内の高等学校の入学資格が与えられます。
帰国後のメリットは大きいですが、現地文化や国際交流の機会が少ないので、現地での生活を考えるとその部分はデメリットになるでしょう。また、費用も高く、学校の数も少ないので、家庭ごとの経済事情や、赴任先によっては通えないケースも少ないので、限られた子供しか通えない学校なのです。
安定の高い人気を誇る、インターナショナルスクール
国際的な修了資格の代表的なものである、国際バカロレア資格を持つ、国際的な教育を行っている学校や、所在する国や域における外国人を対象にした教育を行っている学校です。
インターナショナルスクールは、国際学校、アメリカンスクール、フレンチスクールなどとも呼ばれています。教育カリキュラムや学校内での使用言語も学校によって違います。最近では、幼稚園や高等部までの一貫校も増えているようです。
インターナショナルスクールでは、国際的基準の教育が受けられるため、多国籍な文化交流ができます。様々な国の文化や教育を受けても、日本の義務教育の年齢で帰国すれば、その年齢相当の学年に編入することが可能なのです。
ただ、インターナショナルスクールで使用される言語が話せず、理解できない場合は、まず言語集中クラスに入って言語を習得し、そのあと、実際の授業を受けるパターンが多くあります。そのため、言語・教育方法に慣れるまでに時間がかかったり、それとは別に英語教育が必要な場合もあるそうです。
費用は他の学校に比べて2,3倍も高く、それでも人気があるため、混み合うことが多いので、ウェイティングリストに登録して通えるようになるのを待つこともあります。
多国籍な国際教育を受けられ、なおかつ義務教育期間であれば、帰国しても編入がスムーズに行えることは大きなメリットですが、高額な費用や、言語になれるまでの時間がかかるのは思わず唸ってしまうデメリットもあるので、慎重に吟味する必要があります。
その国の文化、言語に直接触れられる現地校
現地にある学校の総称で、学校内での使用言語はその国の言葉で、通っている子供達の国籍もその国の国籍です。公立の場合、日本とは就学年齢や学年制度が異なることもあります。
公立学校には学区があるので、公立の現地校へ通う場合は住居選びのポイントのひとつにもなります。また、公立学校であれば国によっては義務教育として無料で入学でき、授業を受けることが可能です。現地の公立学校の情報を集めた上で、子供をどの学校に通わせるべきか、考える必要があります。
私立学校の場合は学校によっては入学資格も違うので、事前に問い合わせをしておくといいでしょう。
現地校では、現地独特の文化や教育に触れることができ、現地の子供達とクラスメートになることで、現地への親近感が沸き、言語の上達も早くなることでしょう。そこが大きなメリットですね。
ただ、内気な性格の子供だったり、日本とは全く違う文化に直に触れることでカルチャーショックを感じたりして、異文化に慣れるまでに時間がかかる場合もあるので、日本いた時以上に親子での会話や子供へのケアが大切になってきます。
現地で日本の勉強を補う、補習授業校
現地校などに通いながら、日本の学校で学ぶ国語や算数を中心に、土曜日や平日の放課後を使って学習するシステム。学校での使用言語や国籍はもちろん日本です。補習授業校は世界中に約200校あるので、通う場所に困ることは少ないでしょう。
日本語や日本について知っておくべき知識などを教えてくれるので、日本に帰国しても日常生活や学校にスムーズに適応することができます。
ただ、現地校に通いながら、放課後や週末にもまた学校に通わないといけないので、子供への負担が大きいというのがデメリットと言えます。