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「日産自動車カルロス・ゴーン会長に学ぶ結果主義とプロセス主義とは?」

「日産自動車カルロス・ゴーン会長に学ぶ結果主義とプロセス主義とは?」

結果へのコミットメント

 日本の自動車メーカー、日産自動車がフランスのルノーと業務提携してから18年が経った。最近、当時管理職だった方から話を聞く機会があり、ルノーが送り込んだカルロス・ゴーン現同社会長が強調した結果へのコミットメントについて「確かに重要な考えだった」と振り返った。

 多くの社員は巨大組織の中で、自動車作りの通常職務に追われ、利益を追求するという企業にとって当り前のことが軽視されていたという。ゴーン氏が持ち込んだのは、まさに利益を産み出すためのコミットメントであり、それが組織や働き方を変え、奇跡的復活をもたらしたことは、よく知られている。

 そこで日本企業が目の前にしたことは、結果重視の経営だった。もの作りが基本の日本企業にはプロセス重視の文化があった。バブル崩壊後、1990年代にはアメリカ型の成果主義が導入されたが、適応は難しかった。しかし、日産はトップが結果重視に徹したため、なんとかV字回復できた。

 今でも結果重視とプロセス重視は議論されているが、話を聞いた日産の管理職の方は、結果へのコミットメント強化が会社を救ったのは事実だと認めている。だからといって結果主義が正しいなどと言う気は毛頭ない。なぜなら両者にはメリットとデメリットがあり、十分な検討が必要だからだ。

結果主義とプロセス主義のメリットは?

 結果主義のメリットは、当然、目標が明確で結果を出すことに集中できることだ。同時に結果に対する評価が見えやすく、個人やグループの裁量権を与えやすく、責任の所在も明確にしやすい。競争原理も働くメリットがある。

 一方、プロセス重視のメリットは、状況変化や実施で表面化する問題に対して、その都度、調整や検討が容易なことや、個人単位での競争がないためチームワークが取りやすいことだ。当然、チームで責任を取る体制なので個人へのプレッシャーが軽減され、プロセスも評価される。長期戦略も立てやすいメリットもある。

結果主義とプロセス主義のデメリットは?

 逆に結果主義のデメリットは、長期戦略が立てにくく、結果を過度に追求するあまり、手段を選ばなくなり、東芝の不正経理や検査データ改ざんなど、プロセスでコンプライアンス違反が起きる可能性がある。同僚が競争相手になるためチームワークがうまくいかず、責任転嫁も起きやすい。

 一方、プロセス主義のデメリットは、結果へのコミットメントが弱まり、プロセス(手段)が目的化しやすく、短期的結果を出せない場合もある。裁量権が曖昧化することも多く、責任の所在が明確でなく、個人のモチベーションも高めにくいなどのデメリットもある。

 日本では、この20年、結果重視が強調されてきた。その一方でプロセスでの努力や苦労を評価せず、成果を出せない人を切り捨てる結果重視を非人間的と批判する声も絶えない。結果重視が企業の不祥事に繋がる例も枚挙に暇がない。その原因の一つが結果主義を導入したリーダーがその意味を理解していないことにある。

 つまり、結果主義の前提には明確なヴィジョンとよく練られた戦略があり、誰もが理解できる目標設定があり、その目標達成に完全に責任を取る覚悟のあるリーダーの存在がある。結果主義は部下を追求する手段ではないということだ。

 プロセスと結果は本来、表裏一体の関係にあり、結果へのコミットを前提としたプロセス重視、結果に全ての責任を取るリーダーの存在あっての結果主義だということだ。

 

 コラム73 2・16・2017記

 安部雅延

グローバルマネージメント研修講師
「週刊東洋経済」,「正論」,「新美術新聞」など多数執筆経験のある
国際ジャーナリスト。
フランスのビジネススクールでグローバルマネジメントの教鞭を取る。
グローバル人材育成研修の研修先は大手自動車、銀行、メーカー、商社、外資系企業など多数。
著書『日本の再生なるか』(財界通信社)、『下僕の精神構造』(中経出版)、訳書『愛するモンサンミッシェル』(ウエストフランス社)。
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東後勝明先生
アイザック語学教育特別顧問
東後勝明

兵庫県生まれ。早稲田大学教育学部卒業、同大学専攻科修了。ロンドン大学大学院教育研究科修士課程修了、博士課程修了。英語音声学、英語教育学専攻。早稲田大学教授、2008年定年退職、名誉教授。1972年~1985年9月、NHKラジオ「英語会話」の講師。英語学・英語教育に関する著書30冊以上。

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