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リーダーの仕事内容の再考こそが会社を救う

リーダーの仕事内容の再考こそが会社を救う

 入社から6年が経つ某日系企業社員の話を聞いて考えさせられるものがあった。IT分野で働くA氏は今、所属部署の担当の仕事以外に生産性を高める任を受けているそうです。その話を聞きながら、果たしてその人物を育てる目的で、そんな任を与えているのか、それとも大まじめにその責任を与えているのか疑問に思いました。

 職人文化の色濃い日本の企業は、最初から専門職でキャリアを積むよりも、異なった分野で様々な経験を積ませながら、会社側は、その中から管理職を選抜するシステムが一般的です。そのため、生産性を向上させるというような重要な任を管理職が担わせている例もあります。

 そこで実際に生産性を上げられれば、係長、課長への道が開けるかもしれないということですが、そうではなく、最初から現場の一兵卒として働く社員に、自ら生産性を上げる努力をさせているだけという場合もあります。どの会社においても少ない人数で、それも短期間で結果を出すという生産性が求められている今、生産性向上は喫緊の課題です。

 実は、中国を初め、東南アジア諸国では、日系企業で訓練を受けたナショナルスタッフが、現地に進出している欧米企業や、現地の成長企業に転職する動きが止まりません。ベトナムに生産拠点を置く日本の中堅企業で、1年間日本の工場で訓練を受けた大半のベトナム人が帰国後、他社に転職していることを最近知りました。

 このような想定外の転職はアジアの至る所で起きていますが、ほとんどの理由は報酬にあるといわれています。また、管理職をめざす優秀な人材では、キャリアパスが明確な欧米企業が好まれる実態もあります。では欧米の競合他社は、どうして日系企業より高い報酬を支払えるのでしょうか。

なぜ、欧米の競合他社は日系企業より高い報酬が支払えるのか?

 当然、考えられることは効率性や生産性が高いために、より少ない人数で高いパフォーマンスを出しているからにほかなりません。では、その効率性や生産性は誰がもたらしているのでしょうか。雇われたナショナルスタッフがもたらすケースは少ないでしょう。それは彼らを指導するリーダーが生産性を上げる方法や知識を持っているからです。

 経験重視の日本では、学習能力が高く、長時間労働を厭わない日本人が中心ですから、ある程度のパフォーマンスを発揮できますが、異文化ともなると、パフォーマンスを出すこと自体簡単ではありません。つまり経験だけでは生産性が上がられず、働く人たちの心理を読み込みながら、モチベーションを上げ、チームワークを向上させ、効率性を追求する必要があります。

 それは現場の人間が考えることではなく、リーダーが、より少人数で短期間にパフォーマンスを出すために適切な人材配置と組織設計をすることから始まります。ところが多くの日本から送り込まれるリーダーは叩き上げで経験しかなく、ビジネススクールで教えるような生産性向上の方法論やグローバルマネジメントの知識はない場合が多いのが実情です。

 本来、日本国内でも生産性を向上させるという重要な改善は、少なくとも課長以上のリーダーが、部下から意見を聴取しながら、自ら考え抜いて行うべきものでしょう。今はなんでも現場にまかせればうまくいくという風潮がありますが、実はスキル不足の中間管理職が多いという実情もあります。

 その意味で、リーダーの仕事内容を再考し、下が上を支えるのではなく、上が下を率いるリーダーシップに意識を切り換え、職務内容をリセットすることが急務と思われます。

 コラム87 4・14・2019記

グローバルマネージメント研修講師
安部雅延

「週刊東洋経済」,「正論」,「新美術新聞」など多数執筆経験のある国際ジャーナリスト。
フランスのビジネススクールでグローバルマネジメントの教鞭を取る。
グローバル人材育成研修の研修先は大手自動車、銀行、メーカー、商社、外資系企業など多数。
著書『日本の再生なるか』(財界通信社)、『下僕の精神構造』(中経出版)、訳書『愛するモンサンミッシェル』(ウエストフランス社)

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東後勝明先生
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東後勝明

兵庫県生まれ。早稲田大学教育学部卒業、同大学専攻科修了。ロンドン大学大学院教育研究科修士課程修了、博士課程修了。英語音声学、英語教育学専攻。早稲田大学教授、2008年定年退職、名誉教授。1972年~1985年9月、NHKラジオ「英語会話」の講師。英語学・英語教育に関する著書30冊以上。

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