外国人技能実習制度の監理団体とは? 監理団体の詳細から、監理団体を選ぶ基準まで公開!

外国人技能実習制度の監理団体とは? 監理団体の詳細から、監理団体を選ぶ基準まで公開!

 「外国人技能実習制度」をご存知ですか? 日本が先進国としての役割を果たし、国際社会との調和ある発展を図っていくために、日本の技能や技術または知識を開発途上国の人達へ伝えて母国へ持ち帰ってもらい、開発途上国が経済発展できるよう協力する制度です。

 平成281128日に公布され、平成2911月1日に施行された外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成28年法律第89号)に基づいて、新しい技能実習制度が現在実施されています。

外国人実習生を企業が受入れる際、企業単独型と団体管理型のどちらかを選択します。企業単独型は、日本の企業が直接、海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する型式です。団体管理型は、非営利の監理団体(事業協同組合、商工会など)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業などで技能実習を実施する型式です。

企業単独型の場合、自社で受入れを行わなければいけないので、業界の最大手であれば可能ですが、中小企業の場合は難しく、ほとんど団体管理型を選択し、各監理団体を通して受入れを行うことになります。この監理団体について詳しく見ていこうと思います。

 

監理団体として許可される法人形態について

 

監理団体は、技能等の移転による国際協力の推進を目的とする技能実習制度において重要な役割を果たす機関であり、営利を目的としない法人であることが求められています。具体的には、以下のように省令で認められる法人形態が列挙されています。

 

商工会議所:実習監理を受ける団体監理型実習実施者が、当該商工会議所の会員である場合に限る。

商工会:実習監理を受ける団体監理型実習実施者が当該商工会の会員である場合に限る。

中小企業団体:中小企業団体の組織に関する法律第三条第一項に規定する中小企業団体をいう。その実習監理を受ける団体監理型実習実施者が、当該中小企業団体の組合員又は会員である場合に限る。

・職業訓練法人

・農業協同組合:実習監理を受ける団体監理型実習実施者が、当該農業協同組合の組合員であって、農業を営む場合に限る。

・漁業協同組合:実習監理を受ける団体監理型実習実施者が、当該漁業協同組合の組合員であって、漁業を営む場合に限る。

・公益社団法人

・公益財団法人

・その他:前各号に掲げる法人以外の法人であって、監理事業を行うことについて特別の理由があり、かつ、重要事項の決定及び業務の監査を行う適切な機関を置いているもの

 

 原則として監理団体として許可される法人形態は、 商工会議所、商工会、中小企業団体、職業訓練法人、農業協同組合、漁業協同組合、公益社団法人又は公益財団法人であることが必要とされています。

 これ以外の法人形態で監理団体になろうとする場合は、以下の2つの要件を満たすことを立証する必要があります。

①監理事業を行うことについて特別の理由があること

②重要事項の決定及び業務の監査を行う適切な機関を置いていること

なお、①については過去3年以内に、以下の(ア)、または(イ)を行った実績があり、当該実績を資料等により明確に示すことが要件となります。

(ア)公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律上の「公益目的事業」に該当する業務

(イ) 職業訓練、教育支援、我が国から外国への技能等の移転に関する業務等、人材育成の支援に関する業務

 

監理団体の許可申請手続きについて

 

監理団体の許可の区分について

 

 監理団体の許可には、特定監理事業一般監理事業2つの区分があります。 

 

①特定監理事業

技能実習1号、技能実習2号までの管理事業を行います。許可の有効期間は3年または5年と定められています。(前回許可期間内に改善命令や業務停止命令を受けていない場合)

 

②一般監理事業

技能実習1号、技能実習2号、技能実習3号までの管理事業を行います。(技

能実習3号までの実習監理をしない場合でも、一般監理事業の許可を受けると、受入れ人数枠の拡大が認められます)

許可の有効期間は5年または7年と定められています。(前回許可期間内に改善命令や業務停止命令を受けていない場合)

 

どの段階までの技能実習の管理事業を行うのか確認の上、許可申請を行う必要があります。また、監理事業を行う事業所(監理事業所)が複数ある場合でも、事業所ごとに申請する必要はありません(許可証は監理事業所ごとに交付されます)

 

申請書や必要書類などについて

 

【申請先】

申請は、監理団体になろうとする方がどこに所在していても、外国人技能実習機構の本部事務所において受け付けます。地方事務所では受け付けていませんのでご注意願います。

機構本部事務所の連絡先は次のとおりです。

108-0075 東京都港区港南1-6-31 品川東急ビル8階 外国人技能実習機構本部事務所 監理団体部 電話:03-6712-1923

 

【申請方法】

 郵送のほか、申請者が本部事務所に来所して行うこともできます。郵送の場合、原則として書留等(対面で届き、かつ受領印又は受領の際の署名を行いかつ「信書」を送ることができる方式)で送付すること。

 

【申請書】

 機構のホームページからダウンロードできます(片面印刷でお願い します)。また、本部・地方事務所にて配付する予定です。

 

【必要書類】

許可申請1件につき、申請書(正本1通及びその写し2通)及び添付書類(正本1通及びその写し1通)が必要となります。各申請における必要書類については機構のホームページから、提出書類一覧・確認表をご覧になり、片面印刷で、記載例を参照してご用意ください。

提出された書類(正本)は返却できません。

申請書を提出する前に必ず提出書類一覧・確認表により不足書類がないか確認願います。

 

手数料・登録免許税について

 

申請を行う際には、申請書類一式を提出する際に併せて下記の手数料などを納付したことが分かる資料を添えて提出します。なお、一度納付された手数料(登録免許税を除く)は、金額が誤っていたり、後になって申請を取り下げたとしても還付されません。

手数料・登録免許税の金額と納付先は以下のとおりです。

 

1.申請手数料

 金額:2,500円+900×(全監 理事業所数-1)

 納付先:国 (主務省庁)

 納付方法:収入印紙

※申請手数料は、申請書の所定の欄に、必要額の収入印紙を貼付して納付してください。申請書に貼付された収入印紙は、申請の受理時に機構において消印されるので、その後に申請の取下げ等を行ったとしても、還付されません。

 

2.調査手数料

 金額:47,500円+17,100×(全監 理事業所数-1)

 納付先:外国人技能実習機構

 納付方法:口座振込

※調査手数料は、申請前に指定の銀行口座(三井住友銀行)への振込みにより、納付。

 

3.登録免許税

 金額:15,000

 納付先:日本銀行または税務署

 納付方法:現金納付

※登録免許税は、申請前に「麹町税務署」宛て納付

 

※納付の詳細は、外国人技能実習機構のホームページをご確認ください。

 

監理団体の業務内容について

 

 許可を受けた後は、当該基準に従って業務を実施する必要があります。その内容は以下のとおりです。

 

1.監査に関する業務

 

 監査は、監理責任者の指揮の下で、3か月に1回以上の頻度で、実習実施者に対して適切に行う必要があります。監査を行った場合には、監査報告書により、その結果を対象の実習実施者の住所地を管轄する機構の地方事務所・支所の指導課に報告することとなります。

監査の際には原則として、以下の事柄が定められています。

技能実習の実施状況を実地に確認すること

技能実習責任者及び技能実習指導員から報告を受けること

技能実習生の4分の1以上と面談すること

実習実施者の事業所の設備、帳簿書類等を閲覧すること

技能実習生の宿泊施設等の生活環境を確認すること

 

一方で、例えば部外者の立入りが極めて困難な場所で実習が行われているための方法によることができない場合など、技能実習生が従事する業務の性質上の うちの1つまたは複数の方法について著しく困難な事情がある場合には、当該方法に代えて、他の適切な方法をとることが可能です。この場合は、その理由と他の適切な監査方法を監査報告書の特記事項欄に記載することになります。

 

※その他、監査に当たっては、厚生労働省ホームページの、技能実習制度運用要領をご参照ください。

 

2.臨時監査に関する業務

 

3か月に1回以上の頻度で行う監査のほか、実習実施者が法第16条第1項各号(実習認定の取消し事由)のいずれかに該当する疑いがあると監理団体が認めた場合には、直ちに臨時の監査を行うことが必要となります。

この臨時の監査については、実習実施者が認定計画に従って技能実習を行わせていないなどの情報を得た時はもとより、実習実施者が不法就労者を雇用しているなど出入国関係法令に違反している疑いがあるとの情報を得た時、実習実施者が技能実習生の労働災害を発生させたなど、労働関係法令に違反している疑いがあるとの情報を得た時などにも行うことが求められます。

 

3.訪問指導に関する業務

 

 訪問指導とは、第1号技能実習の場合に、監査とは別に、監理責任者の指揮の下に、1か月につき少なくとも1回以上、監理団体の役職員が実習実施者に赴いて技能実習の実施状況を実地に確認するとともに、認定された技能実習計画に基づいて技能実習を適正に行わせるよう必要な指導を行うことです。

訪問指導を行った場合は、指導の内容を記録した訪問指導記録書を作成し、事業所に備え付けなければなりません。また、この訪問指導の書類の写しは、事業報告書に添付し、年に1度機構の本部事務所の審査課に提出する必要があります。

 

4.実習生受入れの業務

 外国人実習生の受入れ、実習期間が始まる前、入国直後に定められている講習、1号機関の技能実習計画の作成など、企業に代わって監理団体が担う役割、業務は様々あります。

 

【実習生受入れまでの流れで行う業務内容】

①監理団体と、送り出し国の技能実習生送出機関が契約を結ぶ

②監理団体が受け入れ企業に技能実習生受け入れの申し込みを行う。

③送り出し国で、技能実習生の応募・選考・決定が行われる

④受け入れ企業と技能実習生が雇用契約を結ぶ

⑤受け入れ企業は実習計画を作成し、監理団体へ申請する

⑥監理団体は機構へ、団体・実習計画を申請する。機構による調査を経て、主務大臣が団体を許可し、機構から実習計画認定を受ける

⑦監理団体が、地方入国管理局に申請を行い、入国許可を得る

⑧地方入国管理局に許可を得た後、技能実習生が入国する

⑨受け入れ企業で技能実習が開始され、監理団体は指導や支援を行う

 

【入国直後の講習】

 監理団体は実習生に対して、1号の期間の1/6以上講習を受けさせることが定められています。(要件を満たせば1/12以上にすることも可能)

 座学と見学が講習内容となっており、講習の期間は業務に携わることは禁止されており、現場では見学のみと決められています。監理団体は講習期間中、実習生に講習手当を支払う事が相当とされており、実習生の宿舎を無償で提供することが監理団体には義務付けられています。

 講習は、日本語、一般的な日本の生活に関すること、入管法・労働基準法など技能実習生の法的保護に必要なこと、円滑な技能修得に関する知識などを得るための内容が定められています。講師は、専門知識を持ち、経歴、資格を持った外部講師が行う必要があります。

 

監理団体の許可を得た法人が留意すべき点について

 

1.制度趣旨に反した方法での勧誘などに関するもの

 

 技能実習が、労働力の需給の調整の手段として行われることはあってはならないと、外国人技能実習制度に関する法の基本理念でも明示されています。この制度趣旨を正しく理解せず、労働力の需給の調整の手段として技能実習を行わせようとする実習実施者や監理団体は、受入れ機関としてふさわしくないと破断されます。

監理団体の業務実施基準においても、制度の趣旨に反して技能実習を労働力の需給の調整の手段であると誤認させるような方法で、実習実施者の勧誘または監理事業の紹介をすることを禁止しています。

具体的には、例えば、監理団体が、そのホームページやパンフレットなどで、技能実習生の受入れが人手不足対策になるといったような宣伝や広告を出すことは不適切な勧誘や紹介となります。

 

2.外国の送出機関との契約内容に関するもの

 

外国の送出機関については、法第23条第2項第6号に基づき、その要件が規則第25条に定められているところであり、監理団体は、外国の送出機関から求職の申込みの取次ぎを受けようとする場合にあっては、外国の送出機関との間で当該取次ぎに係る契約を締結することが求められています。

これに加え、監理団体は、外国の送出機関が保証金、違約金の徴収を行うような契約を結んでいないことについて確認し、その旨を外国の送出機関との取次ぎに係る契約書に記載しなければなりません。

これは、技能実習生等から保証金、違約金の徴収を行うような外国の送出機関はふさわしくないため、そのことを監理団体においても確認し、外国の送出機関との契約書において明記することを求めるものです。

 

3.外国の送出機関からの取次ぎに関するもの

 

 監理団体が取次ぎを受ける場合には、外国の送出機関からでなければなりません。 これは、技能実習生の保護の観点から、一定の基準を満たした外国の送出機関からのみ取次ぎを認めるものです。

 

4.入国後講習の実施に関するもの

 

 監理団体は、第1号技能実習において、技能実習生に対して入国後講習を行わせる主体となります。

監理団体は、入国後講習の期間中はいかなる事情があろうとも、技能実習生を実習実施者の都合で業務に従事させてはいけないので、そのようなことがないよう十分に監理する必要があります。特に、講習時間前後の早朝や夜間に技能実習生が業務に従事したりすることがないよう、技能実習生が入国後講習に専念できる環境づくりに努める必要があります。

入国後講習を実施する施設は、入国後講習が座学で行われることに照らして、机と椅子が整えられた学習に適した施設で行われなければなりません。このため、監理団体は通常、同時期に入国した技能実習生を、机と椅子が整えられた学習に適した研修施設に集めて、講習を実施することとなります。

入国後講習を実施した後、監理団体は入国後講習実施記録を作成し、事業所に備え付けなければなりません。

 

5.技能実習計画の作成指導に関するもの

 

 監理団体が実習実施者の作成する技能実習計画について指導するに当たっては、技能実習を行わせる事業所と技能実習生の宿泊施設を実地に確認するほか、認定基準及び出入国又は労働に関する法令への適合性の観点、適切かつ効果的に技能などの修得等をさせる観点、技能実習を行わせる環境を適切に整備する観点から指導を行う必要があります。

 特に、適切かつ効果的に技能等の修得等をさせる観点からの指導については、監理団体の役職員のうち、技能実習生に修得等をさせようとする技能等について一定の経験や知識がある者が行わなければなりません。

 

数ある監理団体を選択する基準について

    

現在、日本国中に監理団体が数多く存在しています。監理団体へ実習生の受入れを委託したい企業は、何を基準に選べばいいか悩むのではないでしょうか。監理団体を選択する基準を3つ挙げてみたいと思います。

 

1.監理団体として留意すべき点をきちんと理解しているかどうか

 

 上述した留意点はほんの一部で、まだまだ法的に定められている留意点は存在します。201812月に、法務省及び厚生労働省が、監理団体の許可の取り消し、企業の技能実習計画の認定を取り消されたことがありました。外国人技能実習機構による実地検査において、虚偽の入国後講習実施記録の提出などを行ったために、協同組合が監理団体の許可を取り消されました。虚偽の報告をしないきちんとした監理団体なのか見極めるのはもちろんのこと、監理団体として行うべき業務内容を理解し、留意すべき点を理解しているのか見極め、その上で信頼できる監理団体を選択する必要があります。

 

2.実習生ひとりひとりに関心を持って、監査、訪問指導を行うかどうか

 

 監理団体が行う業務は決して少なくありません。忙しない業務の中、監理団体が何を目的に監理業務を行うのか見失えば、技能実習生の4分の1以上と面談すると定められているにも関わらず面談もしない、1カ月に1回の訪問指導を行わないということにもなりかねません。きちんと実習生ひとりひとりのことを思って監査、訪問指導する監理団体かどうか、見極めて信頼できる監理団体を選択する必要があります。

 

3.入国直後の講習の体制が整っているかどうか

 

 監理団体は原則2カ月間、実習生の講習を実施することが定められています。業務の見学と共に、日本語、日本での生活に関する講習が行われます。実習生にとってみれば、慣れない土地でこれから数年生活していく上でこの講習期間は不安を解消し、希望を持つための大切な時期となります。

日本語講習は、監理団体が所有する施設で、そこの職員が直接講習を行う場合と、外部の日本語学校や日本語の講師のいる外国語スクールに委託する場合もあります。この2つのケースは費用の違いもあるでしょうが、何より実習生にとって必要な日本語講習のカリキュラムが整っているかどうか判断する必要があります。監理団体内部で優秀な講師がいることもあれば、外部委託をした先の講師が優秀で実習生に対して責任を持って日本語を教えてくれることもあります。受入れを委託しようとする監理団体がどのような体制の講習を行うのか確認することをお勧めします。

 

 

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