
日本の偉人「その時、内村鑑三は異文化を超えた」
クロスカルチャー・ストーリー
喜びの声を発すれば
喜びの人となり
悲しみの声を発すれば
悲しみの人となる。
キリスト教思想家として知られる内村鑑三。アメリカ留学を経験し、それまでの出来事を英文で綴った自伝『余は如何にして基督信徒となりし乎』は、世界各国で広く読まれました。
また、西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人の五人を取り上げた『代表的日本人』を日清戦争の最中に英文で執筆。同時期に英文で出された新渡戸稲造の『武士道』、岡倉天心の『茶の本』とともに、日本人の精神性を世界にむけて発信した名著のひとつとして知られています。
キリスト教との出会い、アメリカ留学での経験など、このような名著を書くに至った経緯、それまでの生涯とはどのようなものだったのでしょうか。
1861年、江戸小石川の武士長屋に生まれ、幼い頃より父から儒学を学んでいました。
英語に触れるようになったのは、高崎藩知事の大河内輝声が創立した英学校に入学してからでした。その後、熱心に英語を学ぶようになり、12歳の頃単身で上京し、有馬学校英学科に入学し、翌年には東京外国語学校に編入しました。
ここで、グループメソッドという新しい英語教育を受け、鑑三は最先端の英語教育に触れながら勉強に励んでいました。
これまでの英語教育が、単語暗記主義と文法尊重主義であったのに対し、英語を単語に分けることなく、まとまった文のグループとして覚えさせ、作文をはじめ実地で使わせる実践力重視の英語教育を受けました。
しかし、在学中、1年だけ病気のために休学。1年遅れたことで、新渡戸稲造、宮部金吾と同級生になり、この先一生の友を得たのでした。
キリスト教信者としても知られる鑑三は、この頃初めて英文講読の授業で『旧約聖書』の聖書物語に触れました。そして札幌農学校に入学後、前年に教頭として来ていたウィリアム・スミス・クラークによってキリスト教に改宗していた一期生から強く改宗を迫られました。
鑑三は初めの内は上級生に反抗していたものの、新渡戸稲造と宮部金吾が改宗をしたことを証明する「イエスを信ずる者の契約」に署名したことがきっかけで、ほぼ強制的に署名させられます。
しかし、ヨナタンというクリスチャンネームを自ら付け、牧師の役を交代で務めて毎週日曜日の礼拝を学内で開いたり、水曜日には祈祷会を開いたりするほどキリスト教の活動に熱心になっていきました。
23歳の頃、安中教会で知り合った浅田タケと、両親の反対を押し切って結婚。しかし、半年後には破局して離婚するという、鑑三自身にとっても衝撃的な別れとなってしまいました。
これを機に両親と友人に勧められ、私費でアメリカに渡ります。
到着したサンフランシスコでは、拝金主義、人種差別が当たり前のようになっていました。
キリスト教信者が多いはずのこの国で、キリストの教えとは全く違う現実を突きつけられ、鑑三は幻滅します。その後、ペンシルベニア州フィラデルフィア郊外のエルウィン養護施設を訪ね、そこの知的障害児養護学校で看護人として勤務し始めました。
このことがきっかけで鑑三はペンシルベニア大学で医学と生物を学び、医者になることを考えるようになります。
しかし、マサチューセッツ州のアマースト大学に編入することにし、そこの総長であり牧師でもあるJ・H・シーリーに感化され、神に背いている自らの罪を認め、改めて神に立ち返る「宗教的回心」を経験します。
その後、キリスト教の牧師になって伝道活動をしていく決心をしてハートフォード神学校に入学するのですが、そこでの神学教育に失望してしまうのでした。
結局、退学し、神学の学位を得ない内に帰国します。
異国の地で、文化の違いに触れながら、キリスト教の現実に何度も幻滅させられた鑑三は、徐々にキリスト教の信仰のあり方、捉え方に疑問を抱くようになっていきました。
鑑三は帰国後、知人からの勧めで新潟県の北越学館へ仮教頭として赴任します。エレミヤ書やルターについて講義していたのですが、宣教師の運営方針に疑問を持った鑑三は宣教師達と対立し始め、学生を巻き込んでの学館紛争が起きてしまいました。
赴任後わずか4ヶ月で辞職し、その後、東京の第一高等学校の教師になります。しかし、ここでの教師生活も長くは続きませんでした。
学校で行われた教育勅語奉読式の際、教師と生徒は順番に教育勅語の前に出て行き、明治天皇の署名に対して奉拝する必要がありました。鑑三は奉拝の際に最敬礼をせず降壇してしまい、このことが学内で非難され、ついには社会問題にまで発展してしまったのでした。
敬礼をしなかったのではなく、最敬礼をしなかったというだけでマスコミに大きく取り上げられ、「内村鑑三の不敬事件」として全国に広がり、事件はキリスト教と日本の天皇思想との問題にまで進展するまでになってしまいました。
この事件によって鑑三は解雇され、この事件の後の数年は日本中をさすらい、食べる物、寝る場所もないような生活を余儀なくされたのでした。
しかし、鑑三はこの間に、処女作『基督信徒の慰め』をはじめ、名著を執筆。日本中を敵に回し、罪人のように扱われていた現状を嘆くのではなく、さらに「日本のため、世界のため、キリストのために」と己の精神を磨き上げていったのでした。
日清戦争の真っ只中、1894年に西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人の5人を取り上げた「代表的日本人」を英文で執筆。英文で記したのには訳がありました。鑑三はこの著作を通して、世界対して日本を紹介し、西洋人に対して日本人を弁護するという目的があったため、英文で執筆を行ったのでした。鑑三は執筆動機に対してこのように語っています。
『私は一生の事業の一つとしてこの事を成し得たことを感謝します。私の貴ぶ者は二つの“J”であります。その一つはJesus(イエス)であり、いま一つはJapan(日本)であります。本書は第二のJに対して私の義務の幾分かを書いたものであります』
鑑三が「代表的日本人」で真に伝えたかったことは、単なる偉人伝ではありませんでした。身を挺して仁を貫く「武士道的精神」を持った5人の偉人の生き様、精神の美徳を、自らの生き方の指針としていることが書かれています。この本は他者の伝記のかたちをした鑑三の精神的自叙伝でもあるといえるのです。
鑑三は、一般的に「日本的キリスト教」の創始者として知られていますが、「代表的日本人」でも記しているように、5人の偉人と同じく武士道の精神を保ち、生涯その生き方を貫き通してきました。
「余は如何にして基督教信徒となりし乎」という英文で書かれた著作の中で、『自分にとってのキリスト教は、西洋からもたらされた外来の宗教ではなく、日本人の心の求めとして結実したものである』と語っていることから分かるように、鑑三の中には一貫して武士道的精神が流れていたのです。
従来、キリスト教で行われている儀式やそれを執り行う聖職者に対しても疑問を抱き、それらは不要ではないかと考えていました。すべての人間は、1人の人間としてキリストと結びつくことができると語り、無教会という立場を説いたのでした。
鑑三の墓碑には、「われは日本のため、日本は世界のため、世界はキリストのため、すべては神のため」と刻まれています。
鑑三は日本人として自国を愛する「愛国者」であり、日本人の美徳をもって生きた国際人であり、従来のキリスト教文化にとらわれず、神のために生きた人物だったと言えるのではないでしょうか。
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アイザック語学教育特別顧問
東後勝明
兵庫県生まれ。早稲田大学教育学部卒業、同大学専攻科修了。ロンドン大学大学院教育研究科修士課程修了、博士課程修了。英語音声学、英語教育学専攻。早稲田大学教授、2008年定年退職、名誉教授。1972年~1985年9月、NHKラジオ「英語会話」の講師。英語学・英語教育に関する著書30冊以上。
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