「企業英語研修を成功させるコツ」をよくある失敗パターンから考える

「企業英語研修を成功させるコツ」をよくある失敗パターンから考える
グローバル化の波が日本市場を押し寄せる中、英語の研修の導入を検討している会社も多いことでしょう。しかし、「費用対効果が見込みにくい」という不安や、「やるのだったらしっかり成功に収めたい」という願いなど、様々な思惑と思考が頭の中によぎると思います。
そういうときは、これからの「成功」ばかりに焦点をあてるのではなく、これまでの「失敗」から学び、対策を取ってはいかがでしょうか。「成功事例ではなく、失敗経験から学ぶべきだ」とよく言います。よくある語学研修の失敗事例を分析する中で、優れた結果を残すことができるでしょう。
Ⅰ.目的が不明確ではないか?
研修の目的が漠然な状態では、英語学習の効果も、そして社員のモチベーションもイマイチでしょう。
“英語を学ぶ時に大切なのは、目的とそれに合わせた目標の設定です。自分が英語を学ぶことによって、たどり着きたい場所=目的を明確にし、たどり着くまでの道筋=目標を暫定的で良いので設定します。そうすることで、たどり着くための方法=学習方法が自然と定まってきます“
-All About「英語学習の事始めー目的と目標をどう決める?」
社員に英語を学ばせる。その目的は何なのか?それを考えてみてください。社員全体の底上げなのか、選抜社員からグローバル人材育成をするのか、海外出張の準備なのか、海外赴任の準備なのか。
それを明確にすることで、学習の効果も、社員のモチベーションも向上することでしょう。通常、英語研修の目的は大きく分けると、4つに分類することができます。
4つの目的のどこに当てはまっているか?
1、海外赴任のため
高い語学力だけではなく、海外赴任後のポジションに必要なスキルや、異文化対応のノウハウも必要です。
2、次世代グローバルリーダー育成のため
プレゼン力や交渉力など指導者に求められる語学、そして外国人に臆さない資質が求められます。
3、英語業務に対応するため
メール、電話、会議など、実際の業務に応じて実践的な英語力を学ぶ必要があります。
4、全社員の英語力底上げ
ここで大切なことは、「会社の目的」だけではなく、「社員の目的」も配慮することです。英語研修を実施するにあたり、各自考えやモチベーションは千差万別でしょう。
海外勤務を希望で語学力向上に意欲的な人もいれば、英語にコンプレックスを抱く人もいる。英語研修に対する各自の動機や意気込みをヒアリングすれば、より効果的な「目的と目標」を設定できるはずです。
実際に英語を学ぶのは社員であって、会社自体ではありません。会社の方針と目的を明確にしつつ、個々人の目的を尊重する中で、よりよい結果を得ることができます。
Ⅱ.受講者の英語レベルがバラバラ
研修内容に関するレベルが受講者間で大きなバラつきがあると、均一的な学習効果を発揮することができません。
語学研修を実施する際、英語アレルギーのある初心者と帰国子女だった上級者を、同じ教室で同じ内容で学ばせても均一的な学習効果が得られないことは想像に難くないでしょう。
目的と目標、そしてレベル別でクラスを分けるべきです。レベルを測定するツールとして、TOEICをあげられます。
「英語の実力とTOEICって関係なくない?」と思われる方もいると思います。しかし、TOEICは仕事でそのまま使える語彙、文法知識、リスニングスキル、読解力を測るという点で、これ以上の測定ツールはないでしょう。一般的なTOEICの点数と、英語レベルを紹介します。
TOEICスコア900~990
・ 自分の専門分野の高度な専門書を読んで理解できる。
・ 英語を話す人達が行っている最近の出来事、事件についての議論を聞いて内容を理解することができる。
TOEICスコア800~895
・ 英語で書かれたインターネットのページから、必要な情報、資料を探し収集できる。
・ 職場で発生した問題について議論をしている同僚の話が理解できる。
TOEICスコア700~795
・ 会議の案内等の社内文書、通達を、読んで理解できる。
・ 自分の仕事に関連した日常業務のやりかたについての説明を理解できる。
TOEICスコア600~695
・ 自分宛に書かれた簡単な仕事上のメモを読んで理解できる。
・ ゆっくりと遠慮して話してもらえれば、目的地までの順路を理解できる。
TOEICスコア500~595
・ 電車やバス、飛行機の時刻表を見て理解できる。
・ 打ち解けた状況で、 "How areyou?""Where do you live?" "How do youfeel?" といった簡単な質問を理解できる。
TOEICスコア500~595
・ 看板を見てどんな店か、どういったサービスを提供する店かを理解することができる。
スコアによって、ずいぶん英語の実力に違いがありますよね。やはりレベル別で研修を進めるのは必須のようです。
Ⅲ.研修自体で終わらない自立型英語学習人財に育っているか?
英語学習でもっとも大切なことは、「継続」です。たった何カ月の努力で語学の実力は伸びにくいですし、最も、言葉は使わなければ使わないほどすぐ忘れてしまいます。
しかし、会社の研修になると、「やった気になりがち」になり、研修期間は頑張って学んだ内容も数か月後には水の泡になる恐れがあります。
「空腹な人には釣った魚をあげるのではなく、魚の釣り方を教えるべき」というように、社内の英語研修も、社員に自立型英語学習人材に育てるところにフォーカスを置くべきです。
研修中に自分自身の英語学習のモチベーションを何かを教わり、そして継続学習に必要なツールを学ぶことで、研修効果を高めることができます。
世間にあふれるリソースを有効活用して、スキマ時間に英語を練磨する。
英語学習を楽しく、生活の一部に取り組み、習慣化させることで、自立して継続学習する体質をつくりあげることができれば、これ以上の費用対効果はないといっても過言ではないでしょう。
Ⅳ.終わりに
いかがでしたでしょうか。「目的が不明確」、「受講者の英語の実力がバラバラ」、「研修自体で終わってしまう」と、三つの研修失敗パターンをみてきましたが、単純に言ってそのパターンの裏返しを意識して研修を準備すれば、いい結果が得られそうですよね。
目的は明確に、レベル別の研修、そして研修後も自立して継続学習を行える体質を目指していけば、会社の英語力は格段とアップすること間違いありません。