デンマーク語の文化紹介です。誰にでも誕生日があり、それを祝うイベントがありますが、祝い方などは国によって違いますね。

誕生日の歌が違います…

誕生日に歌う歌は、なんですか？と尋ねれば、世界中たいていの人は、♬ハッピーバースディトゥュ―～♬　で始まる例のメロディーを思い浮かべるのではないでしょうか？

デンマークではあの歌は歌いません。ほとんどの幼稚園、学校や家庭では、I dag er det Oles fødselsdag （今日はオーレの誕生日です）という曲を歌います。

そしてその際、国旗も欠かせません。日本でお子様ランチについてくる日の丸。あの紙製の旗のデンマーク版をケーキやお料理に飾るのはもちろん、祝ってくれる人達の手には小旗も必要です。買い忘れたりなどしたら、みんな「ありえない！」って顔をしてがっかりしますので、お忘れなく。

当日，この小旗を手にもってパタパタ振りながら、曲の３番まで調子っぱずれの大声で満面の笑みを浮かべて歌うのが「誕生日の恒例行事」です。

そしてこの小旗、お誕生会に来る人達だけのものではありません。誕生会の主催者は、戸建て住宅なら玄関から家の前の通りまで、間隔を空けて、芝生や道端に突き刺していきます。場所が学生寮やアパートなら部屋から廊下、階段、玄関ホールに旗を貼り付けて「今日が誕生日の人がいます・・・」と無言で知らせるために、小旗を小道具として使います。通りかかった見知らぬ郵便配達の人に「あれ、今日お誕生日の人いるんだね。楽しい１日を！」などと声掛けされることもあるかもしれません。

国際電話料金は今も昔も高いですが、昔はこの歌だけを歌うために、請求額を想像してドキドキしながら国際電話したものですが、最近はインターネットでSkype,Line,zoomなど無料ビデオ通話しながら、電話料金を気にせず、にぎやかに楽しく歌う人達がたくさんいると思います。（余談ですがSkype はデンマーク人の発明です。）

どの年齢になってもお誕生日は大切ですが、５才、１０才、１５才・・・といったキリのいい数の誕生日の年はrundfødselsdagen(ロンフォーセルスデーン)といって、例年より盛大にお祝いします。

昨年はコロナの爆発的感染拡大のせいで、デンマーク女王の８０才の誕生日、毎年行われていたパレードも晩餐会も中止、当日皇太子一家などの親族とだけでお祝いすると発表。せっかくのrundfødselsdagenなのに、ちゃんとお祝いもしないなんて…と気の毒に思った国民達が、あちこちで女王様に向けてこの歌を歌うこととなりました。下記のYouTubeでデンマーク国営放送のものと、デンマーク交響楽団が企画した誕生日の歌が紹介されています。ご参照ください。ちなみに今年も４月のお誕生日は昨年同様ステイホームの誕生会を女王は過ごされたそうです。           

誕生日の習慣が、日本と似てるようで似てないことがまだまだあります。例えば、子供の誕生会ですが、幼稚園や小学校でクラスの子供を全員呼ぶ場合も結構多いです。幼稚園だと先生数名がクラスメイト全員を連れてきてくれて、親は軽食やケーキを用意して誕生会を催すのです。

家で催せない人は地元のプールや公園、ハンバーガーショップで行うなどして楽しみます。けれども、そんな時間も経済的余裕もない親だと、誕生日を迎える息子や娘のためにクラス全員で食べられる量の自家製ケーキやパンを（自家製でなくてもいいのですが、安上がりなのでこの方法をとる親たちが一般的です）幼稚園や学校に持っていき、クラスみんなと一緒に祝ってもらいます。

このパターンは大人になっても継続する人が多くて、誕生日は同僚からプレゼントをもらうこともありますが、こうして自ら「今日誕生日なんで角のパン屋で焼き立てのデニッシュペーストリー買ってきたから手が空いたら食堂で一緒にお茶でもどうですか？」などと同僚たちに声かけしてお菓子や、食事を振舞う人も結構います。自家製のプロ顔負けのケーキを持ってきて同僚を驚かすなんていう人もいたりして、誕生日のサプライズは、他人が演出するものだけでなく、こうして本人自らが演出する・・・ってところも日本と少し違うかもしれません。１年に１度、日頃お世話になっている同僚達にお礼を言う良い機会なのかもしれません。

最後に・・・誕生日の日お天気が良ければ「あなたの昨年１年の行いは良かった。」天気が悪ければ「１年ずっと悪い子だったのね」と子供が親に言われたりもします。さて今年の皆さんのお誕生日、お天気はいかがですか？

言語を文法・発音だけでなく、こんな「余談」をしながら、その言葉を使う人達の国民性やエピソードを知ることで、より深く理解して、実生活で「使える言語」を身につけるきっかけにしませんか？

Danmark synger for H.M. Dronningen -YouTube

I dag er det Dronningens fødselsdag - YouTube