すぐ使える「交渉の英語表現」元NHK英会話講師が解説
すぐに使える仕事英語「商談のときの英語表現」英語表現を、元NHK英会話講師が解説します。絶対伝わる英語フレーズ、いまから一緒に覚えていきましょう。今回お伝えするのは、この3フレーズ!
1.相手に再考を頼む
2.責任者を知りたいとき
3.仕事の条件についてたずねる
どれも使いやすい定番フレーズですね。定番で簡単だからこそ、いま完璧に覚えてしまうことをお勧めします。さあ、一緒に覚えていきましょう。
1.相手に再考を頼む
I know it's difficult,but I'd appreciate it if you could.
アズマ:相沢さん、赴任先のオフィスでの仕事はどうですか?英語の表現もだいぶ使えるようになってきましたか?
相沢:赴任当初よりは、少しずつですけど、コミュニケーションが円滑になるようになってきました。でも、また難しいことがあって……。
アズマ:また新たな壁が出てきたということですか。難しいことというのはどんなことですか?
相沢:取引先の人に交渉をするのが難しいんです。例えば、その人が提案してきたことに対して、もう一度考え直してくれませんか?というときに使える英語の表現ありませんか?
アズマ:それでしたら、こういうのがいいですね。I know it's difficult,but I'dappreciate it if you could.むずかしいのを承知していますが、そこを何とかお願いできましたら、という意味です。
「たいへんでしょうがなんとか」とか、「~していただければたいへんありがたいのですが」と,無理を承知で頼みこむときの表現です。この後半部,「I'd appreciate it if ~」の形を用いていろいろと表現できます。
例えば「もう少し割引きしていただければありがたいのですが」と言いたいなら、「I'd appreciate it if you could give me more discounton this」となります。「双方の利益のために」と言い足すなら、「~ for the sake of yourbenefit as well as mine」ですね。
相沢:へえ。こんなふうに伝えることができるんですね。きちんと相手に伝わるような、正しい発音方法を教えてください。
アズマ:I know it's difficult,but I'd appreciate it ifyou could.という文章で、強く発音する所は、「know」、「difficult」、「appreciate」、「could」の4か所です。「difficult」で少しポーズを取ると、相手も聞き取りやすくなります。そして、「appreciate‿it‿if」のところは、[əpríːʃieititif]と、一つの単語のように言うことが大切です。
◆会話の文脈から英語フレーズを覚えましょう◆
相沢:We'd like to plan an order for onethousand units of this component./このコンポーネントを1000個注文したいのですが。
社員:You mean catalogue No.2158?/カタログ番号No.2158のことですね?
相沢:Yes.And weneed them immediately.Could we get them delivered thisafternoon?/はい。それで至急ほしいのですが,今日の午後に届けてもらえますか?
社員:Well,we wishwe could,but ..../いや,そうできたらいいのですが,しかし……。
相沢:I know it'sdifficult,but we'd appreciate it if you could.We're completely out of stock at the moment./むずかしいのは承知していますが,そこを何とかお願いできませんか。今、全然在庫がないんですよ。
2.責任者を知りたいとき
Who am I supposed to contact forgetting a final decision on this matter?
相沢:アズマ先生、この間飛び込みの営業である会社に行って取引の交渉をしようしたんですけど、「責任者は私ではないので」と言われて、追い返されてしまったんです。
アズマ:引き下がらなかったんですか?
相沢:引き下がろうとしたんですけど、「責任者は誰ですか?」って聞いても答えてくれなかったんですよ。
アズマ:英語の表現が不十分だったのかもしれませんね。そんな時はこんなふうに言うといいでしょう。Who am I supposed tocontact for getting a final decision on this matter? この件についてはどなたにお話しすればご決定いただけますでしょうか?という意味です。
「どなたが最後の決定をされるのですか?」とか、「決定を頂くためにはどなたにお会いすればいいのですか?」と言うときの尋ね方ですね。他にも、「Who do I meet for getting a final decision?」と言うこともできます。また単に、「この件に関してはどなたにお目にかかればいいですか?」と尋ねたいときには、「Who do I meet for thismatter?」とか、「Whodo I meet to inquire about this?」と言うといいでしょう。
相沢:なるほど。そういうふうに言えば良かったんですね。次こそは引き下がれるように、正しい発音を教えてください。
アズマ:Who am I supposed to contact _for getting a final decision on this matter? は、長い文なので、「contact」の後で少しポーズを取りましょう。さらに「decision」の後でも少し切ることができます。
発音を強めるところは、「Who」、「supposed」、「contact」、「getting」、「final,decision」、「matter」の7か所です。am‿Iのところは、[əmai]と弱めに一息で発音しましょう。声の調子は、疑問詞で始まるため、下げ調子がふつうですね。
◆会話の文脈からフレーズを覚えましょう◆
社員:I'm afraid the decision does notrest with me./すみませんが,決定権は私にはないのです。
相沢:I see.Who am I supposed to contact for getting a final decision on thismatter,then? /わかりました。じゃ,この件で最終決定を得るにはどなたにお会いすればいいのですか?
社員:Theoretically Mr.Collins,chairman of the board,but practically it seems that Mr.Shreiderhas the last say.理論的には会長のコリンズでしょうが、実際にはシュライダーに最終的な発言権があるようです。
相沢:Could you arrange a meeting withhim?/その方にお会いできる手配をしていただけないでしょうか?
社員:Yes,ofcourse./はい、いいですよ。
2.仕事の条件についてたずねるとき
Are the terms still negotiable?
相沢:アズマ先生、交渉はやっぱり難しいですね。
アズマ:何かありましたか?
相沢:それが、取引先と値段の交渉をしてこいって言われて、交渉しにいったんです。それで少しは値段を下げてくれたんですけど、会社に戻ったら上司からもっと下げるように交渉できなかったのかって怒られてしまって。
アズマ:それは大変でしたね。
相沢:そうだったんです。でも、もっと下げてくれって言いにくいじゃないですか。こんなときに、何か良い英語の表現はないもんですかね?
アズマ:こういうのはどうでしょう。Are the terms still negotiable? 条件については交渉の余地はありますか?という意味ですね。条件などに関して、「まだ交渉の余地がありますか?」とその可能性を尋ねるときの表現です。
この他にも、「Is there any room left for further negotiation?」まだこれから交渉に少しは余地が残ってますか?とも言えます。
「negotiable」はこの他、「Is the price negotiable?」とか、「Is the schedule stillnegotiable?」のように、「値段」とか「予定」など他の言葉にも用いられます。
相沢:ああ、こんな表現があったんですね! 次は使えるようにしておかないと。相手にきちんと伝わるように、正しい発音を教えてください。
アズマ:Are the terms still negotiable? という場合、大切な言葉は、「terms」と「negotiable」なので、この両方を強く発音します。「まだ」という気持ちを強く伝えたければ、「still」も強く発音されることがあるでしょう。
「terms[təːrmz]」の発音が日本語式の「タームズ」にならないよう注意しましょう。[əːr]の発音は舌を口の中で浮かすようにして、唇の両側に力を入れ、エとアの中間のような音を出します。negotiable[nigóuʃ(i)əbl]は、強く発音するところに気をつけて発音しましょう。文章の最後で、声の調子を上げるといいですね。
◆会話の文脈からフレーズを覚えましょう◆
相沢:Can you tell me a bit more about theterms?/条件についてもう少し教えていただけますか?
社員:Certainly.Whatelse would you like to know?/わかりました。ほかにどんなことをお知りになりたいのですか?
相沢:What about paid holidays?/有給休暇はどうなっていますか?
社員:There are three weeks of paid holidaysa year./1年に3週間の有給休暇があります。
相沢:And does your company give a bonus?/それと、御社ではボーナスはありますか?
社員:No,itdoesn't./いいえ,ありません。
相沢:Are all these terms still negotiable?/これらの条件に関して交渉の余地はありますか?
社員:I'm afraid not./すみませんが,ありません。
3.話の内容を具体的にたずねる
Could you put that in more specificterms?
相沢:アズマ先生、取引先の人と話している時に、話の内容が曖昧でよく分からないことがあったんですけど、そういう時に失礼にならない尋ね方ってありますか?
アズマ:そうですねえ。これなんかどうでしょう?Could you put that in morespecific terms? もう少し具体的におっしゃっていただけませんか?という意味です。話の内容がはっきりしないとき、「もう少し具体的に説明していただけませんか?」と内容の説明を依頼する表現です。
「具体的に」と言うときには、この「specific」を副詞にして「specifically」とか、「specifically speaking」、また、「to be more specific」というように言いましょう。
例えば、「具体的にはどうすればいいのですか?」ならば、「Can you tell me what to do more specifically?」また,「具体的にはっきりこれを売りたい」ならば、「To be more specific,I want to sell this」と言えばいいですね。
相沢:なるほど。この表現だったら失礼にはならないですね。今度実際に使ってみたいので、正しい発音を教えてください。
アズマ:Could you put that in more specificterms? 意味の上から大切な言葉は、「put」、「that」、「more」、「specific」、「terms」の5つなので、そこがそれぞれ強めの発音になります。Could‿youは弱く一気に[kudʒu]と発音しましょう。put thatも[pútðǽt]となり、はっきりと発音することが大切です。
相手に依頼をしているので、声の調子は最後で上げるといいですね。
◆会話の文脈から英語フレーズを覚えましょう◆
相沢:We'd like to know what your plant istechnically capable of./御社の工場が技術的にどのようなことが可能なのか知りたいのです。
社員:Could you put that in more specificterms?/もう少し具体的におっしゃっていただけませんか?
相沢:Certainly.The total amount of the monthly production,thepossibility of model changes,and quality control andguarantee system,etc.,that we'dlike to know.わかりました。全月産台数,型変更の可能性,品質管理,それに保証制度等々を知りたいのです。
社員:I see.Let meget our production manager to answer you.Just a moment,please./なるほど。製造部長に答えさせます,少々お待ちください。
レッスン後
相沢:取引先との会話は気を遣わないといけないから難しいんですよね。でも、アズマ先生から教えて頂いた表現をちゃんと練習して、取引先の人とコミュニケーションとって、交渉もできるよう頑張ります!
アズマ:応援していますよ。取引先の人と交渉するためにもコミュニケーションは大事なので、英語の表現を声に出しながら、練習してみてくださいね。