趙修賢【韓国語講師インタビュー】文化的背景と共に学ぶ、生きた韓国語レッスン
趙修賢【韓国語講師インタビュー】文化的背景と共に学ぶ、生きた韓国語レッスン
20年前、日本人男性と結婚して来日された、趙修賢(チョウスヒョン)先生。最初は日本と韓国の文化の違いに戸惑うこともあったそうですが、今ではすっかり日本に慣れ、流暢な日本語を話されます。韓国語を教えて20年近くという、ベテラン講師 趙修賢先生に、日本と韓国の文化の違いや、普段のレッスンで心掛けていること、学習者へのアドバイスなど、色々とお話を伺ってきました。
敬語の概念―「内と外」の日本語、「上と下」の韓国語―
Q.韓国と日本で、文化・習慣の違いや、生活のギャップを感じたことを教えてください。
一番違いを感じたのは、上の人に対する言葉遣いですね。
例えば日本人は、お客さんとの会話で自分の上司について話すとき、「もうすぐ田中が参ります」のように、呼び捨てにしたり、謙譲語を使ったりしますよね。日本語の敬語は謙譲語が発達していて、「内と外」という分け方をしますが、それがなかなか慣れなかったんです。
韓国語の敬語には尊敬語が多く、「上と下」という分け方をするので、自分より上の人には必ず尊敬語を使うんですよね。たとえ子供であっても、そのように教育がされていて、3歳を過ぎてもタメ口で話すようでは、家庭環境を疑われてしまうんです。
なので、まだ日本に慣れていなかった頃、看護師さんがおばあちゃんに「今日はどうしたの?」と声を掛けていて、とてもびっくりしたのを覚えています。その当時は、看護師さんが親しみを込めて話していたということが分からず、人格まで疑ってしまいました(笑)
生活面のギャップとしては、男女が同じお湯のお風呂や、こたつに入るというのにびっくりしました。それなのに、布団は別々で寝る夫婦が多いというのも不思議に思いましたね。韓国では、家族であっても、異性がお風呂に入った後はお湯を抜いて、新しいお湯を入れるというのが一般的です。
日本語と似ているようで違う言語
Q.韓国語の面白いところを教えてください。
韓国語は文法が日本語と似ていて、とても学びやすいと思います。
日本語と同じ漢字の熟語もあるので、漢字の音さえ覚えれば簡単ですよ。例えば、「会」は「회(フェ)」、「社」は「사(サ)」という音なので、「会社」は「회사(フェサ)」、「社会」は「사회(サフェ)」と、日本人なら簡単に単語が作れてしまうんです。
ただ、日本語とは異なる意味の熟語もあって、注意が必要です。例えば、日本語の「相談」という言葉は、「旅行の相談」のような気軽な場面でも使えますよね。一方で、韓国語では、「大変な問題が起きたので相談する」のように、深刻な場面でしか使用しないんです。
それから、韓国語には面白いことわざが沢山あって、時々生徒さんにも紹介しています。例えば、「積極的に頑張る」ことを、韓国語では「腕をまくって頑張る」と表現するんです。なぜかというと、皿洗いをするのに、同じ「手伝いましょうか」と聞くのでも、腕をまくりながら来た人の方が積極性を感じますよね。昔の民族衣装は袖が長かったので、このようなことわざができたのだと思います。
それから、同じ意味で、「靴を脱いで頑張る」という言い方もあります。これも先ほどと同様で、田んぼの仕事を手伝うのに、靴を脱ぎながら「手伝いましょうか」と言った人の方が、積極的に見えるということなんです。
言語+背景知識
Q.授業で重視している点や、生徒さんとの接し方で心掛けていることを教えてください。
一つ目は、言語的な知識だけでなく、その背景を丁寧に説明するようにしています。
テキストをそのまま読んでも、日本人には分かりにくい部分があるんですよね。例えば、韓国語では、日本語の「でしょ?」に当たる「~지요(チヨ)」という語尾をよく使うんですが、「知ってるでしょ?」と言われると、日本人には少し責められているように感じられるかもしれません。
ただ、これは韓国語では、相手を思いやる優しい言い方なんです。「相手は既に知っているはずだから、知っているか聞くのは失礼だ」という考え方なんですよね。辞書の日本語訳だけを頼って勉強してほしくないので、こういった背景的な説明を重視しています。
二つ目は、生徒さんに「今日何を学ぶのか」を分かりやすく提示して、今回の表現が、いつ、どのような場面で使われるのかを具体的に理解してほしいと思っています。相手の分かる範囲で韓国語で説明して、早く自然な話し方を習得してもらえるようにしていますね。
生徒さんとの関係性はオープンで、仲良くなって色々と相談される方もいますし、感謝のお手紙をいただくこともあります。ただ、「親しき仲にも礼儀あり」で、私が生徒さんに嫌な思いをさせることのないよう、気を付けていますね。
それぞれの興味に応じた話題の提供
Q.生徒さんのモチベーションを高めるために、工夫していることはありますか?
相手が何に興味があるのかを観察して、それぞれに合った内容を紹介するようにしています。
例えば、韓国でお仕事をする方には、ビジネスのうえでも知っておく必要のある、韓国のルールについてお話ししますね。
韓国でよくある挨拶の一つに、「ご飯食べましたか?」というものがあるんですが、これは相手との距離感や立場を考えて答えなくてはいけないんです。自分と一緒に食事をしたり、奢ったりできないような距離感であれば、たとえご飯を食べていなくても、「もう食べました」とか「今から食べるところです」と、ご飯に困っていないことをアピールしないといけないんですよね。
それを正直に答えてしまうと、「ただの挨拶だったのに…」と相手が困ってしまうんです。親しい関係であれば、正直に答えて大丈夫なんですが、受付の女の人に「ご飯食べましたか」と会う度に聞かれても、別に気があるというわけではないんです(笑)
また、お酒の席では、お酒を注ぐ方の手にもう片方の手を添えるというマナーがあります。韓国の民族衣装は袖が長く、それが料理につかないようにするという文化的背景があるんです。
アットホームで、フレキシブルなレッスン
Q.アイザックで講師をやっていて、よかったと思う点はありますか?
アイザックの良さは、生徒さんの目的やレベルに合わせて、フレキシブルな対応ができることですね。
趣味、仕事、検定など、生徒さんによってニーズは様々ですが、講師の裁量でそれに応じたレッスンを組み立てることができるんです。
実際に、他校に通っていた生徒さんが、「テキストに縛られるのは合わない」と、アイザックに乗り換えて来たこともあります。個々人のペースやレベルを見ながら、毎回のレッスンをアレンジしていけるのは、アイザックならではですね。
それから、スクール自体が非常にアットホームで、生徒さんとの距離も近く、何でも相談できる雰囲気も魅力だと思います。
ゼロからのスタートで、驚異的な成長
Q.先生のもとで学ばれた生徒さんは、どのように成長していきましたか?
以前、ゼロから始めた方で、1年も経たずに韓国に留学した方がいらっしゃいました。
レッスンのペースとしては、1週間に1~2回だったんですが、その方に合う学習方法をアドバイスして、着々と力を伸ばしていきましたね。普通は、韓国に留学してから上級クラスに入るまでに、1年以上かかることが多いんですが、その生徒さんは半年で上級を卒業できたんです。あまりにも成長が速かったもので、現地の先生が「日本のどこで習ってきたの?」と何度も聞いてきたそうなんですよ(笑)
帰国後は、日本の観光推進協会に就職して、仕事でも韓国語を使っているようです。今でもよく感謝のメッセージを送ってきてくれるのは嬉しいですね。
まずは始めてみましょう!
Q.これから韓国語を上達させたいと思っている皆様にアドバイスをお願いします。
まずは、恐れず始めてみることですね。
韓国語には、「시작이 반이다(シジャギパニダ):物事を始めたら、それは半分達成したようなものだ」ということわざがあります。韓国語は日本人にとって非常に勉強しやすい言語で、一度始めたら楽しさを発見でき、自分の視野も広がってくると思いますよ。
ハングルは一見、暗号のように感じられるかもしれませんが、ルールさえ理解すれば、2時間ぐらいで読めるようになります。ぜひ皆さんも気軽に韓国語を始めていただきたいですね。
何事も行動を起こさないことには始まりませんね。まずは、アイザックの無料体験レッスンから始めてみるのはいかがでしょうか。
マンツーマンレッスンならではのオリジナルカリキュラムで、あなたの眠る言語力を呼び覚ますきっかけになると嬉しいです。