ポーランド出張・赴任に行く前に知っておきたい友愛の歴史やビジネスマナー
日本とポーランドは2019年に国交樹立100周年を迎えます。ポーランドは親日として知られていますが、日本人からするとポーランドは遠く、馴染みのない国という印象があります。突然ポーランドに赴任や出張に行く辞令が下った際、言語や生活習慣が分からないと不安になるかと思います。そこで、国交樹立100周年という長い歴史を振り返りながら、ポーランドの文化や生活習慣、マナーについて紹介します。
国交樹立100周年の、両国友愛の歴史について
ポーランドは第一次世界大戦終結まで、独立国家として存在していませんでしたが、第一次世界大戦でドイツが敗れ、1918年にポーランドは独立しました。その後1919年3月に、日本は独立ポーランドを承認し、正式な国交が始まりました。1920年には通商条約が調印され、軍事協力が締結されました。
ポーランドがヨーロッパ随一の親日国である理由のひとつとして、日本赤十字社による「シベリア孤児の帰還」援助があげられます。ポーランドは独立国家となる以前、ロシア帝国の支配下にありました。19世紀に独立を勝ち取るための民衆蜂起が始まったのですが、ロシア軍に制圧され、多くのポーランド人が政治犯としてシベリア送りにされました。第一次世界大戦末期に起こったロシア革命により、独立国家となった後も帰国は難しく、シベリアにいたポーランド人はロシア内戦の中で悲惨な環境に立たされていました。多数の餓死者や病死者、凍死者が出る中、惨状を知ったポーランド人により、「ポーランド救済委員会」が立ち上がりました。内戦の中で親を失った孤児だけでもせめて助けたいということで、当初はアメリカの赤十字が手を差し伸べるはずでした。しかし、米軍がロシアから撤退したことで協力が得られず、ポーランド救済委員会はシベリアに軍を派遣していた日本に救援を求めました。それを受けた日本の外務省は日本赤十字社に救済事業を要請し、救護活動を行うことに。決定から2週間後、765人のポーランド孤児は船に乗って、福井県の敦賀港に上陸しました。ポーランド孤児たちは、日本赤十字をはじめ、軍や警察、役場、市から温かく迎え入れられ、食事や病気の治療など、手厚く養護されました。その後、ポーランド政府の要請で、孤児たちは帰国することに。日本を離れる時、孤児たちはよくしてくれた日本人に情が移り、帰りたくないと泣き出したといいます。祖国がどのようなところか知る前に、極寒の中争いの絶えないロシアで親を亡くした凄惨な記憶を植え付けられた孤児たちにとって、日本は初めて平和を感じ、愛を感じた温かい場所だったのでしょう。孤児たちはアリガトウと何度もお礼を口にし、最後に君が代とポーランドの国歌を歌って感謝の思いを最大限に伝えて日本を後にしました。
この時の恩返しとして、ポーランド政府は1995年、1996年に、阪神淡路大震災の被災児童をポーランドに招待し、子供たちを励ましてくれました。その後も、2011年の東日本大震災で被災した岩手県と宮城県の子供たちを2週間ポーランドに招き、震災に負けず前に進む勇気を与えてくれました。
ポーランドと日本が親密な関係であると明かす歴史や書物は多々あります。国交100周年という記念すべき年、改めてポーランドについて知る良い機会なのではないでしょうか。
ポーランドの文化、生活について
ポーランドの基本情報
ポーランドは中央ヨーロッパに位置しており、ドイツの東隣、バルト海に面しています。
首都はワルシャワで、面積は312,679km2。日本は378.000 km2なので、日本より少し小さいほどです。人口は日本の約3分の1程度。日本のように縦長ではなく、長方形の国土で交通網も発達しているため、周遊を行いやすいようです。ポーランドとは、「平原の国」という意味があり、平原が広がっています。青い空に緑の大地、北海道のように広々としてのんびりした雰囲気です。
ポーランドの食事事情
ポーランドでは肉をよく食べるそうで、長時間煮込む料理が多く、味付けは日本人の口に良く合うそうで、食事で不便に思うことはないでしょう。ポーランドは美食の国として世界的にも有名で、料理のバラエティも豊富で、リーズナブルで美味しいと評判です。ただ、カロリーが高く、油も多く使う料理が多いので、胃もたれしないよう注意は必要かもしれません。ポーランドでの食事は1日5回で、1回目の朝ごはん→2回目の朝ごはん(10時~11時)→昼ごはん(14~16時)→おやつ→夜ごはん(19~21時)というようになっています。最近では生活形態の変化や健康志向の人が増えたことで、昼ご飯は12~13時に食べ、レストランでのランチメニュー12~15時までの所が多いようです。夜ごはんも家族が集まる時間に食べる人が少なくないそうです。出張や赴任で行った際、ご飯の席も大事なビジネスの場になることもあるでしょう。良いコミュニケーションの場となるためにも、ポーランド料理について知識を持っておくのも良いかもしれません。
ポーランドの宗教
ヨーロッパの多くの国はキリスト教を信仰していますが、ポーランドは人口の95%前後をカトリックが占めるほど敬虔な信者が多数います。毎週日曜日は教会でミサを行い、基本的に日曜日は休息の日として仕事はしないので、ゴミも捨てることはNGです。
クリスマスも本格的に行うそうで、当日は肉を一切使わない料理を食べるとか。12月は24日までに数日間かけて肉をたくさん食べ、25日は肉を食べずに過ごすという風習があるようです。
ポーランド人の気質
西スラブ系の民族であるポーランド人は、情熱的で感情豊かで、「スラブのラテン」とさえ呼ばれることがあります。ロシア帝国から独立国家とするため立ち上がった民衆の心にも情熱的な血がたぎっていたことでしょう。情勢が不利でも祖国のために立ち上がり、最後まで抵抗し続け、ワルシャワは壊滅的に破壊されるのですが、何が何でも独立するという熱い心をポーランド人は持っているようです。
出張、赴任する際に知っておくべきマナーについて
海外出張、赴任の際には、その国のビジネスマナーは知っておくに越したことはないでしょう。日本とは異なるポーランドのビジネスマナーについて紹介します。
会話編
会話をする際は、アイコンタクトを維持しましょう。また、ポーランド人はボディランゲージにとても敏感なので、笑顔を絶やさずにいることも大切です。
まずビジネスの話題から入るよりも、天気や日本のことなど気兼ねない一般的な話題から入って信頼関係を築いた上で本題に入るといいでしょう。日本についての紹介や、仕事上での面白かった経験や、趣味についてなど、会話の引き出しを多く持っているといいかもしれません。また、初回の面談の後にもより個人対個人の接し方を好むので、信頼し合える関係になるためにも、様々な会話をすることは喜ばれます。
一般常識編
感情や気分を隠す必要はないので、ありのままの率直な姿勢とオープンな態度は喜ばれます。ただ、ハグやキスはとても親しい相手以外とは行いません。一般的に挨拶をする際や、別れる際は握手をします。
ポーランドでは年長者に敬意を払うことが求められるのですが、高齢者には特に敬意を払うことが常識です。電車やバスなどでは、若い人は高齢者に席を譲ったり、親切に接することが当然とされています。
レストラン等でのチップは絶対ではないですが、チップを渡す際は10%程度が一般的です。
ポーランド語初心者でも安心できるアイザックのレッスン方について
ポーランドの公用語はポーランド語です。スラブ語に属しており、隣国のチェコ語やスロバキア語に近いのですが、ロシア語にも似ています。文字はラテンアルファベットなので、英語、イタリア語、フランス語などと似ています。
ポーランド語は取得することが難しい言語だとされています。文法の変化が多すぎるというのがその理由のようです。男性名詞と女性名詞と中性名詞があるのですが、それぞれ単数形と複数形で形が違い、格変化も複雑で様々パターンがあるため難しく感じられます。
アイザックでは、ポーランド人で日本在住歴の長いプロの講師がマンツーマンで、生徒さんの目的に応じた個別のレッスンを行います。ポーランド語の基礎はもちろん、発音に関してもお伝えしています。英語にない発音が、日本語とポーランド語に存在する場合があるため、日本語、英語、ポーランド語の発音の違いについてお教えしています。また、英語に近い言語と、スラブ語系の言語の違いや、若者言葉、挨拶の種類なども紹介します。
言語に関することだけでなく、ポーランドの歴史や文化、風習、ビジネスマナーなどもお伝えしながら、不安をなくして赴任、出張に行くことができるようお手伝いをしています。
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