ブラジル文化を紐解く伝統の舞踏劇と地域毎の食文化

ブラジル文化を紐解く伝統の舞踏劇と地域毎の食文化

ブラジルの文化を紐解く舞踏劇と食文化

ブラジルには文化が混ざり合って誕生した、ブラジル特有の民族劇や民族舞踊が存在します。また今日も人気の高いカーニバルもブラジルの大きな文化と言えるでしょう。今回はそんなブラジルの伝統劇、そしてこれまた地域性があるブラジルの伝統料理をご紹介いたします。


ブラジルってどんな国?


ブラジルは、中南米に位置する国で、正式名称は「ブラジル連邦共和国(Federative Republic of Brazil)」です。

 国の面積は851.2万平方キロメートルで、日本の22.5倍にもなります。人口は約240万人で、欧州系(約48%)、アフリカ系(約8%)、東洋系(約1.1%)、混血(約43%)、先住民(約0.4%)など、様々な民族が生活しています。そのため、公用語はポルトガル語ですが、先住民の言語が使われている地域もあるのです。

 1960年にリオデジャネイロからブラジリアに首都が移転されました。移転前は沿岸部に人口が集中していたのですが、移転後は内陸部にも人口が分散され、ブラジリアは現在人口が250万人以上になり、国内で3番目に豊かな町になったそうです。

 

多民族が集まるブラジルの文化とは? 


(※駐日ブラジル大使館ホームページ参照→


16世紀にブラジルに最初に渡ったポルトガル人によって、ヨーロッパ文化がブラジルへ広まっていきました。そのためブラジルの文化は、ヨーロッパの白人と、アフリカの黒人と、先住民のインディオの文化が集まり、時代を経て徐々に3つの文化が混ざり合い、独特の形を成していきました。


ブラジルに受け継がれる伝統劇・踊り


<伝統文化>

民族舞踊と民族劇は、ブラジル人の芸術性を豊かに表現しています。ブラジル文化を形成する3つの文化が複雑に影響しあったテーマやリズム、衣装や振り付けになっています。


民族舞踊

様々な民族舞踊がありますが、それらの全てが、ポルトガル人とインディオとの戦いをドラマ化したものや、ゴイアース州のピレノポリスで行なわれる「カヴァリャーダ」を題材にしたものです。(※「カヴァリャーダ」とは、3日間続けて行なわれる野外劇。中世の騎士の騎馬戦に由来し、イベリア半島で行なわれたキリスト教徒とムーア人の戦いを描いたもの)

 

民族劇

劇場で創作される舞踏劇。その起源は中世ポルトガルで、数世紀にわたってブラジルの多様な文化と接しながら変貌していきました。民俗学者マリオ・デ・アンドラーデは、ブラジルの舞踏劇を、「レイザードス」、「シェガンサス」、「パストリス」、「ランショス」4つに分類しています。


「レイザードス(Reisados)」

 24の民族劇から構成。その中では『ブンバ・メウ・ボイ(Bumba-Meu-Boi)』が最も有名です。この作品は、品評会で入選した雄牛の不幸を軸にストーリーが展開され、裕福な牧場主が所有する牛の品質を高めるために、雄牛を根気強く探し求める物語です。


「シェガンサス(Cheganças) 」

 シェガンサス(到来)は、クリスマスの時期に上演される民族劇。海の向こうからのムーア人の到来から、敗戦、そして、キリスト教による洗礼までを表現しています。


「パストリス(Pastoris) 」

 パストリス(羊飼い)は、キリスト降誕の場面の前に行われるクリスマスキャロルとして演じられたのが始まりです。今日では、大衆のイベントとなり、女性が赤い列と青い列の2つの列に分かれてパレードを行います。それぞれの列の女性は、先生、女神、かわいい天使、ジプシー、老人(コメディアン)、北極星、南十字星などの仮装をし、羊飼いの少女が管楽器の独奏とギターの演奏に合わせて、タンバリンをたたきながら歌う催しになっています。


「ランショス(Ranchos)」

 リオ・デ・ジャネイロで行われているカーニバルの最も原始的な形がこのランショスです。ダンサーにより演じられる荘厳でロマンチックなラブストーリーで、マーチのリズムが使われます。毎年新しい作品が創作され、リオのそれぞれの地域を代表するダンサーたちにより上演されます。

 

<カーニバル>

サンバの激しく明るいリズムに、情熱的な踊りのブラジルのカーニバルは世界中で有名です。この起源となったのが、旧ギリシャ・ローマ時代の春を祝う儀式。中世になってカトリック教会の感謝祭の時期に、教会行事に組み入れられました。このお祭りがブラジルに伝わったのは17世紀で、19世紀にイタリアやフランスなど他のヨーロッパ諸国の影響を受け、仮面や仮装、ピエロ、愉快で陽気な人物などが加わって、次第に現在の姿になっていったのでした。


 今日、リオ・デ・ジャネイロでは、世界最大で最も有名なカーニバルが四旬節の直前に行なわれます。その中で一番色彩豊かなイベントが「サンバスクール(Escola de Samba)」のパレードです。毎回サンバスクールが互いに競いあい、審査員があらゆる角度から審査します。それぞれのサンバスクールは、1つのテーマにそって趣向を凝らさなければならず、そのテーマは、歴史上の事件や偉人、文学作品や伝説など。衣装も、テーマの時代背景や場所を上手に表す必要があり、更にサンバの歌詞や大きな山車も、テーマを詳しく表現していなければなりません。各校からの参加者は3000人とも5000人とも言われ、世界中から観光客が集まって大いに盛り上がります。



リオに限らず、各地で伝統的なカーニバルが繰り広げられます。レシッフェやオリンダ(ペルナンブッコ州)では、サンバよりテンポの速い音楽に乗り、巨大な人形が観衆の中で跳躍します。サルヴァドール(バイーア集)のカーニバルは、バイーア音楽として知られるアシェ・ミュージックを普及させ、純粋な黒人のリズムの流れをくむ歌でも知られています。

 

地域性から見るブラジルの食文化


伝統的なブラジル料理


ブラジルの各地方では、土着の文化や、川や海との距離、降雨量、土壌の状態など、さらにはヨーロッパのどの国による入植などにより、様々な独特の料理が発展してきました。

各地方で生産される豆、野菜、果物、肉等のそれぞれに異なる食材は、その地方の特徴を持ち様々な料理に変化します。また、料理法も土地ごとに異なり、ひとつの料理の中に先住民のインディオ、入植したポルトガル人、そして農業労働力として連れて来られたアフリカ人からもたらされた影響が表われています。


 例えば、アマゾン河流域の料理は、先住民の影響を多く受けています。食材としては、独特な味を持つ「ツクピー」(キャッサバイモの根の絞り汁)と「ジャンブー」(麻酔効果のあるクレソン野菜の一種)があります。キャッサバイモのでん粉で作ったスープ、ジャンブーの葉、干し海老で「ツクピー汁煮込み鴨」あるいは「タカカースープ」が作られます。



 北東部は異なる二つの面を有し、沿岸部と内陸部にそれぞれ特徴のある料理があります。この地域では、特にバイア州の料理が特徴的です。この州は、ポルトガル人により奴隷として連れて来られたアフリカ人の影響を強く受けています。バイア州に限らず、北東部に位置する九つの州の内陸は乾燥しているため、「カルネ・セッカ」または「カルネ・デ・ソール」などの干し肉類、さらにキャサッバイモの粉、または煮たキャッサバイモが料理の中心になっています。


 南東部に位置するリオ・デ・ジャネイロは「フェイジョアーダ」の本場。ブラジルの代表的な料理として紹介されています。「フェイジョアーダ」とは、黒豆、豚肉、ソーセージ類、干し牛肉などを煮込んだ料理です。それをご飯に添え、オレンジ、炒めたケ‐ルの葉、キャッサバイモの粉で作る「ファロッファ」と一緒に食べるもの。この「フェイジョアーダ」の他にも、ポルトガル人により伝えられた鱈料理の「バカリョアーダ」の地元でもあります。

 

種類豊富な飲み物


飲み物としては、何世代もの間、ドイツとオランダの熟練したビール醸造者が、ブラジルの主要なビール会社で製造と加工を指導してきたため、西半球で最もおいしいものの一つだと感じる観光客が多くいるほど、ブラジルのビールは人気があります。

 他にもブラジルでは、サトウキビを発酵させて、純度の高い透明なラム酒、カシャッサ(cachaça)を製造しています。このカシャッサに、刻んだライムと砂糖と氷を加えると、カイピリーニャ(caipirinha)と呼ばれる非常に人気のある飲物になります。また、アマゾン川流域の果物から作られた、ブラジル独特のガラナ(guaraná)というジュースも好まれています。



いかがでしたでしょうか。ブラジルのカーニバルは世界的にも有名ですが、カーニバルだけでなく他にも数々の伝統芸術があるのですね。また地域ごとのお料理もそれぞれの土地の特色を考えながら見てみると興味深いですよね。ぜひブラジルに訪れられる際は、カーニバル以外の伝統にも注目してみてください。



ブラジルに滞在前にポルトガル語を学習しておきたいという皆様はこちら↓

資料請求(無料)

資料請求

各種資料を郵送にてお送りします。最寄りのスクールを選択してください。

各種資料のPDFを、メールにてお送りします。お問合せ先のスクールを選択してください。

体験レッスン

最寄りのスクールを選択してください。