バイリンガル講師が教えるベトナム赴任生活を成功させるために大切な5つのポイント

バイリンガル講師が教えるベトナム赴任生活を成功させるために大切な5つのポイント

 海外赴任が決定した際、まずは言語を身に着けることが大切ですよね。世界の公用語である英語に加え、赴任先の言語をマスターする必要もあるでしょう。次に大切なことは、赴任先の生活事情を知ること。アイザックでは日本語堪能な現地出身の講師、あるいは現地での在住歴が長く、現地の言葉が堪能な日本人講師が、海外赴任を控えている方を対象にしたマンツーマンレッスンを行っています。レッスンでは言語はもちろん、現地の生活や文化、マナーなど、赴任をする前に知っておいた方がいい情報もお伝えしています。

石川先生

この記事では、海外赴任生活を成功させるために知っておきたいポイントについて講師にインタビューした内容を紹介します。今回は、ベトナム編です。ベトナム出身で講師歴15年、日本語が堪能な石川蘭先生にインタビューしてきました。ぜひベトナム赴任のご参考にしてベトナムでのお仕事や生活を充実させて頂けたらと思います。

 

ポイント1 挨拶と親切心は、必ず返すことが大切!

 

―ベトナムに出発する前に知っておいた方がいいマナーはありますか?

 

 知っておいて欲しいマナーは2つあります。

1つめは、挨拶などで声をかけられた時、無視をしないということです。挨拶をされたらスルーしないで、笑顔で会釈をするだけでもいいので反応してください。ベトナム人は相手の態度をとても気にするので、無視は絶対にしないようにしてください。笑顔で対応するともっといいですね。

 2つめは、お釣りで細かいお金がもらえないので、細かいお金を用意しておくことです。日本では1円や10円など、お釣りはぴったりもらえますが、ベトナム人は細かいお金を使うことを嫌います。特にタクシーの運転手さんは細かいお金を渡してくれません。「細かいお釣りはありません」と言われて、「払ってください!」と言っても、ベトナム人は頑固なので喧嘩になるだけです。ぴったり払えるよう細かいお金を用意しておくといいですね。

 

日本とは異なる文化や価値観、生活習慣など教えてください。

 

ベトナムでは女性も仕事をしないと役に立たないと思われてしまいます。仕事をしないで家にいるというと、何もしない人なんだと軽蔑されることもあります。日本の女性と同じく、家事、育児をすることも求められているのに、仕事もしないといけない。手が回らないので、自分の親に子供のお世話をお願いしたり、住み込みや時給でお手伝いさんを雇ったりします。時給3万ドン(約150円)から雇うことができ、気軽に雇えるので、赴任される方の中でも雇う方が多いと思います。

 また、物価も安いので外食をすることが多いです。お米の国なのでお米ベースの料理や野菜をたくさん使った料理など、健康にいいものばかりです。ベトナム人は人との距離が近いので、よく人の家に訪ねて行って、一緒にご飯を食べます。日本では互いの予定を聞いて約束してから訪ねると思いますが、ベトナムでは一般的に約束をしないで急に訪ねていきます。突然ご飯を食べている時に来ても、「せっかく来たんだから入って」と招いて一緒に食べるんです。現地でベトナム人の友達ができれば必ず「私の家においでよ」と誘われると思います。ベトナム人は壁を作らないので、心配しないで遠慮せずお呼ばれしてください。

ただ、呼ばれておいて相手を招かないのは失礼にあたります。親切心を軽い気持ちで利用することをベトナム人は嫌います。貸し借りが日本人より細かく、ただ甘えるということが好きではありません。ベトナム人は親切にされたら、自分が何を返せるか考え、返せないと思ったら親切心を拒否することがあります。そこが日本人とは異なる価値観なので、理解してもらえたらと思います。

 人との距離が近いので、周囲の人に関心を持ちやすい性格をしています。近所で起きた些細な事や近所の家庭の噂話などが大好きです。また、事故や火事が起きれば皆見に行くほど野次馬根性が旺盛ですね(笑)。

 

―ベトナム人が大切にしている宗教はありますか?

 

 仏教とキリスト教ですね。仏教が先に根付いていたのですが、フランスからの支配が長かったので、キリスト教も入ってきて、今では仏教徒とキリスト教徒が半々です。キリスト教が入って来る前は、中国語に似た漢字を使っていたのですが、キリスト教の宣教師が分かりやすいようにアルファベットに似た文字を使うようになり、それが今のようなベトナム語になりました。昔からある仏教のお寺には中国語でも日本語でもない昔の漢字が残っています。熱心な信仰者が多く、仏教徒は毎日お経を聞いています。また、チャイニーズカレンダーで、1日と15日が大事な日なので、その日はお寺にお参りしてお祈りをします。

 

ポイント2 関心を持って親切に接する、立場よりも年齢を重視すること!

 

―赴任する前に身につけておいた方がいいベトナム語のレベルはどの程度ですか?

 

基本的な挨拶、ありがとう、ごめんなさいは必ず身に着けてもらいたいです。挨拶をする時は笑顔で、「元気?」と声をかけるようにするといいでしょう。相手の好きなものを聞いたり関心を持つことが親しくなりやすいコツです。また、些細な事でもありがとうと感謝の気持ちを伝えたり、褒めたりするといいですね。ベトナム人は壁がないので頑張って親しくなろうとする必要はなく、すぐに打ち解けることができます。

挨拶に加えて、「家に行ってもいい?」、「電話してもいい?」と聞かれた時、「OKじゃないです」、「OKです」と言えないと困るので、そのやり取りや、いるか、いらないかの受け答えも知っておくといいです。それと、「がんばってね」、「親切にしてくれるんですね」、などコミュニケーションを円滑にするフレーズも覚えていくと良いと思います。あとは日常生活でよく使う言葉や、数字、曜日、通貨などですね。例えば以下のようなフレーズを覚えておくといいでしょう。

 

【挨拶】

こんにちは Xin chào!(シン・チャーオ) 

ありがとう Cám ơn(カーム・オン)

すみません Xin liシン・ローイ

はい    D(ザ)/ Vâng(ヴァン)

いいえ   không(ホン)

 

【数字】

1-Mt(モット)

2-Hai(ハイ)

3-Ba(バー)

4-Bn(ボーン)

5-Năm(ナム)

6-Sáu(サーウ)

7-By(バイー)

8―Tám(ターム)

9-Chín(チーン)

10―Mười(ムオイ)

11-Mười mt(ムオイ・モット)

20Hai mười(ハーイ・ムオイ)

1,000(千)-Mt nghìn(モット・ギン)

10,0001万)-Mười nghìn(ムオイ・ギン)

100,00010万)-Mt trăm nghìn(モット・チャム・ギン)

1,000,000100万)―Mt triu(モット・チエウ)

 

【通貨】

9,500ドン

Chín nghìn năm trăm đng(チーン・ギン・ナム・チャム・ドン)

 

2,586,000ドン(258万6千ドン)

Hai triu năm trăm tám mươi sáu nghìn đng(ハーイ・チエウ・ナム・チャム・ターム・ムオイ・サーウ・ギン・ドン)

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ベトナム人の社員と良好な関係を築くために気を付けた方が良いことは何ですか?

 

1つめは社員に関心を持つことです。ベトナム人は仕事より家族を大事にします。子供と親をすごく大切に思っているので、社員の親や子供について質問するといいでしょう。また、社員の仕事の進捗状況や体調を気遣ってあげてください。仕事の覚えが悪かったり、体調が悪かったりする社員のことを無視しないで、「ゆっくりでいいから頑張ろう」、「体調大丈夫?」と声をかけるようにしてください。無理して働かせようとしたら協力を得られません。ベトナムの人は鏡のように、相手が優しければ自分も優しく接し、相手が厳しいなら自分も厳しく接します。日本のように就職難ではないので、今の仕事が嫌になったらやめて他の仕事を探します。食べ物も安いので、1ヶ月仕事がなくても生活できます。感心を持って親切にすると相手も同じように接してくくれます。

2つめは、立場よりも年齢を重視するので、いくら自分が上司だとしても、部下が年上だったら丁寧語を使ってください。ベトナム人は年齢が上の人を尊敬しているので、敬うことが当たり前です。例え掃除のおばさんだとしても、自分が年下なら不躾な態度はよくありません。年齢が上の人に対してはどんな立場であろうと、謙遜な態度で接するようにしてください。

 

―ベトナム人から見た日本の印象はどうですか?

 

お金持ちで、親切な態度だけど冷たくもあるという印象です。何で冷たいと感じるのか親しくなっていくとだんだん分かってくるのですが、親しくなるまでが難しいですね。距離感がつかめないので、どこまでがOKで、どこからがNGなのか判別がつきづらいです。ベトナム人は、人の役に立つことが好きなので、相手がアドバイスどおりやらなくても、どんどんアドバイスをします。でも日本人は人と壁があるので、表面だけの親切のように感じてしまいます。

日本人は他の国の人に比べて信頼できます。他の国の人は距離が近くても、勝手に人の物をとったり、悪いことをするので信頼できないことがあります。日本人は冷たい面もあるのですが、絶対に悪いことはやらないと信頼できます。

 

―赴任先で現地社員の上司になる場合もありますが、ベトナム人の社員が尊敬する上司とはどのような人だと思いますか?

 

1つめは、人格否定をする言動をしないことです。ベトナム人はプライドがものすごく高いので、注意するときは、他の社員の前で叱らないで、個人的に会って話すようにしてください。その時も、仕事の内容を指摘するのはいいのですが、人格を否定するようなことは言わない方がいいです。人を馬鹿にするような言葉で話したり、手を上げたり、人前で叱るなどして辱めることをベトナム人は許しません。人格否定をするようなことは絶対にしないようにしてください。

もう1つは、気配りをして、助け合うことです。社員が仕事に困っている様子があったら無視をしないで、「難しいけど頑張ってね」と声をかけるようにするといいでしょう。直接仕事を手伝うことも助け合いですが、頑張ってとエールを送るのも助け合いです。言葉や表情で、あなたの気持ちが分かるよと共感することが大事です。

 

ポイント3 市場で楽しく買い物をしたり、色んな料理に挑戦してみてください!

 

―ベトナムで暮らす際、自炊と外食、どちらが良いと思いますか?

 

自炊でも、外食でもどちらでも良いと思います。自炊なら、メイドさんに材料を買って来てもらっても、自分で出かけて日本人向けのスーパーやベトナムの市場などを見物しながら買い物をしてもいいと思います。市場の人達は凄く優しいですよ。市場で売っているお肉は薄く切っているのではなく、塊で売っているものが多いので、お店の人に切ってもらうこともできます。ちなみに、市場ではカードが使えず、現金だけなので気を付けて下さい。買い物は、あまり遠くに行かないで家の近くでするといいでしょう。外国人が1人でいたら詐欺にあったり危険なこともあるので、遠い所に買い物に行くならグループでいくようにした方がいいです。

外食の場合は、市場やレストランに出かけて、売っているものを挑戦して食べたらいいと思います。日本では赤飯はお祝いの時だけですが、ベトナムでは毎日食べる普通の食事です。市場にたくさん売っているのでびっくりしないでくださいね(笑)。食べ物がたくさんあるので、パクチーや香りの強い調味料などがあるので、食べられない人はそれが使われていないか気にして、食べ物を選んで色々な物に挑戦してみたらいいと思います。

 

 

―食事のマナーで日本と異なることはありますか?

 

日本は水は無料ですが、ベトナムでは有料なので気を付けてください。食事のマナーはそれほど多くないですが、麺をすする時やスープを飲む時は音を立てると恥ずかしいので、やめた方がいいです。

また、女性は人前でたばこを吸わない方がいいです。たばこを吸う女性は悪い女のように見え、品がないと思われます。お酒も悪酔いしないように飲み過ぎないようにしたり、缶に直接口を付けないでコップに移して飲むようにした方がいいです。歩きながら飲むのは男っぽいので、女性はやらない方がいいでしょう。ベトナム人女性はたばこ、お酒の印象が良くありません。たばこ、お酒大好きと言わない方がいいでしょう。お酒は飲めるというぐらいでいいです。

ベトナム人は距離感が近いので、自分の料理を自分の使っている箸で相手の皿に取り分けたりします。「これ美味しいから食べて」と、相手のお皿に自分の箸を使って入れることが普通です。慣れないうちは遠慮せず、お皿に入れないでくださいといってもいいです。また、お店のテーブルに置いてあるソースや塩などは全員で共有して使うので、抵抗があれば自分用のソースや塩を持っていくといいですね。

 

ポイント4 何でもあるので生活しやすく、親切な国民なので外国人が住みやすい!

 

―ベトナムでの主な移動手段は何ですか?

 

バイクとタクシーです。お勧めは安くて安全なタクシーですね。バイクは危険で、2人乗りは特に死亡事故も多いのでやめた方がいいです。遠い所に行きたい時はレンタカーなどを使ってもいいと思います。日本の交通ルールと違うのは左ハンドル、左側交通という点です。また、歩道で自転車は走れません。走れるのは公園の中だけです。必ず公園まで押して行ってそこだけで乗るようにしてください。

 

―ベトナムは日本人にとって住みやすい国でしょうか?

 

住みやすいと思いますよ。皆さん親切で、助け合う心を持っています。例えば外で体調が悪くなって大変な時は皆集まって来て、「あなた大丈夫?」、「家どこ?」と聞いてきて助けてくれます。

また、食べ物と気候が日本と似ているので過ごしやすいです。北は大阪と同じような気候なんです。ただ、南の方でひとりでフラフラ歩いているとひったくりにあうことがあるので注意が必要です。バイクに乗った人がひったくりをしてくることがあるので、鞄を取られるだけでなく怪我をすることもあります。タクシーに乗って移動した方がいいという理由がそれです。歩いて移動する場合は、バイクが通りやすい所はやめた方がいいです。綺麗な格好をして出かけたいときは、歩いて移動しない方がいいです。歩く場合は、地味な格好をして、鞄も高そうな物を持ち歩かない方がいいです。子供もひとりで出歩かせない方がいいですね。

 

買い物をする時も、家の近くが飽きたらタクシーに乗ってスーパーやショッピングモールに行ってもいいと思います。ベトナムは東南アジアの中で一番なんでもある国だと思います。外国人が住みやすいためのものがたくさんある上に、タクシーも安く、運転手さんが買ったものを玄関まで運んでくれるので楽です。ベトナムは交通がそんなに混雑しないので、時間を気にしないで移動が自由にできるんです。ショッピングモールもどこにでもあるし、市場もたくさんあります。病院もたくさんあるのですが、すぐに行ける場所を選んだ方がいいですね。雨が降ったら皆タクシーを使うため、すぐに呼べないので近くの病院を予約した方がいいです。

 

ポイント5 住みやすい国ですが、気を付ける点もあるので注意すること!

 

―最後に、これからベトナムに赴任される方へアドバイス(言語や現地での生活についてなど)やメッセージをお願いします。

 

 ベトナムはご飯もおいしくて何でもある住みやすい国です。

ただ、交通には気を付けた方がいいです。道路を渡る時は危ないので、誰か現地の人にお願いして、一緒に渡ってもらうようにしてください。皆さん優しいので手伝ってくれます。日本みたいに横断歩道がないので、道路を渡りたいときは、歩いている人でも近所の人でも、「私この道路を渡りたいんですけど、助けて下さい」とお願いしてください。

また、人の物を盗る人も多いので、自分の荷物はしっかり守ってください。買い物をする時は、市場の人がこれ買ってと言って来るので、いらなかったら遠慮しないで「いらないです」と言うようにしてくださいね。

 

最後に

  日本語も堪能で、笑顔が素敵な石川蘭先生から、ベトナム赴任でのポイントについてお話を伺いました。日本にいてはなかなかイメージがしにくいベトナム赴任での生活ですが、少しはイメージを膨らませることができたでしょうか? アイザックでは石川蘭先生のように素敵なバイリンガル講師からマンツーマンレッスンを受けることができます。言語のみならず、現地での生活や文化にも精通した先生のレッスンを受けてみませんか? まずは無料体験レッスンをお試し頂けます。

 

 

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